出版社内容情報
光源氏と女たちが交わした愛の和歌には、登場人物の「ほんとうの声」が隠されているのではないか。歌人である著者が、そのストーリーほど知られていない『源氏物語』の和歌から女たちの「心の奥底の真実」を追う。
【著者紹介】
1956年、愛知県名古屋市生まれ。1978年、大学在学中に「コスモス」入会。現在、「コスモス」短歌会選者・編集委員。「NHK短歌」選者。産経新聞、中日新聞、熊本日日新聞、南日本新聞歌壇選者。毎日新聞書評委員。青山学院女子短期大学講師など。歌集に『水陽炎』『月光公園』『ヘブライ暦』(第7回河野愛子賞受賞)『希望』(第5回若山牧水賞受賞)『獅子座流星群』『エトピリカ』『憂春』(第40回迢空賞受賞)『純白光 短歌日記2012』(第6回小野市詩歌文学賞、第7回日本一行詩大賞受賞)『泥と青葉』ほか。
内容説明
「心の奥底の真実」を読む!気鋭の歌人が、作中の和歌を丁寧に読み解き、ストーリーを追うだけでは見えてこない登場人物の心の襞に迫る。新しい『源氏物語』の世界がここに!
目次
桐壺帝と桐壺更衣
雨夜の品定め
空蝉
夕顔
末摘花
六条御息所
藤壷
朧月夜
花散里
明石
玉葛
紫上
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鼓十音
6
繊細なやさしさ、無神経な冷酷さ。源氏は驚くほど極端な二面性をもつ、そうたびたび呟く著者の鋭い眼差し、それでいて女君らのひとりひとりの花を丁寧に見いだしてゆく、その語りがすき。彼女らの歌を読むほどに、想いと虚しさの届かない彼は、ほんとうは端役なのでは、という思いが優る心地。─ひとりの男の華麗なる愛の遍歴の影で、彼を愛し懸命に支え、ときに我が身を嘆き、それでも勁く生きた、女たちを見つめて。ときにその言葉より、想いを露わにする和歌をともに読み解くうち、なおいっそう彼女らが愛しくなる、静かでうつくしい文章でした。2018/10/31
てくてく
5
源氏物語の解説書は数あれど、和歌を中心にそれぞれの登場人物を批評した本は珍しいと思う。男と女のどちらから歌を詠んだか、その歌のベースとなった和歌は何か、辞世の歌を詠まなかった人、あるいは辞世の歌で、「もっと生きたい」という願いを詠んだただ一人の登場人物、など面白かった。2018/11/18
りやう
2
来月発売の角田光代訳「源氏物語」に備えてのアップ。多少なりとも、源氏と向き合うのは久々のこと。それはともかく、本書は筆者の光源氏嫌いが随所に発揮され、こっぴどく叩かれている。副題がー女はいかに生きたのかーだから源氏を叩かなきゃ始まらないというわけだ。ちょっと個人的な光源氏批判が過ぎるかとも思うが、世間一般の、特に女性による光源氏評なんてこんなものなのかもしれない。2017/08/16
じゅんぴ
1
昔、あさきゆめみしを読んでハマった源氏物語だが、光る君へで、また興味を持った。とてもわかりやすくて楽しめた。現代語訳でも良いので、ちゃんと源氏物語を読んでみたい。読めるかな?2024/07/13
sayar
1
大河ドラマ「光る君へ」で、源氏物語界隈が盛り上がっている。何年か前に与謝野晶子訳を読み通したが、そのとき、物語の中で和歌を贈り合うことがいかに重要なのかを認識。でもその時は、歌の意味までわからず読み進めていた。この本では、物語の主な場面を取り上げ、そのとき詠まれた歌の意味や出来具合、また使っている言葉が醸し出す語感などを解説してくれる。後半、光源氏の君の、取り巻く女性たちへの扱いに、作家の感情が抑えられないのに読者の私も超共感したりして、すごく楽しく読んだ。ドラマがいっそうおもしろくなりそう‼︎2024/05/12