出版社内容情報
明治以降の日本の名句を「新年」「春」「夏」「秋」「冬」の季節に分けて収録。作品の背景や読みどころ、名句たるゆえんなどを記した鑑賞を付す。季節の移ろいにしたがって折々の名句を味わえる名句鑑賞本。
内容説明
近世から現代までの名句400句余を収録した決定版名句鑑賞書。俳句に親しみながら鑑賞力が身につく俳句入門書。
目次
春
夏
秋
冬
新年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
押さない
3
啓蟄の土著けめ蟻闘えり・永き日のにはとり柵を越えにけり・つねに一二片そのために花篝・末黒野に雨の切尖限りなし・カステラに沈むナイフや復活祭・山又山山桜又山桜・はこべらや焦土の土の色の雀ども・甘草の芽のとびとびのひとならび・街の上にマスト見えいる薄暑かな・人形のだらりと抱かる雲の峰・さみだれや船がおくるる電話など・頭の中で白い夏野となっている・男手の瓜揉親子三人かな・金塊のごとくバタあり冷蔵庫・降ろされて息を大きく鯉のぼり・子燕のこぼれむばかりこぼれざる・ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに2018/11/07
桐葉
2
俳句は渋いと思っていたが「ぼうたんの百のゆるるは湯のように 森澄雄」などの句をみれば,かくも華麗な詩となりうることを知った。鑑賞文がすばらしい。2017/03/27
じめる
2
特に三橋鷹女、阿波野青畝、橋本多佳子らの鋭い感性に脱帽。さらにその中で言えば三橋鷹女か。ねっとりした狂気じみた繊細さを持ち爽やかですらある。阿波野青畝は非常に言葉の音と形に敏感であり、単語として名詞を描くこと以上の効果を十七文字の中で綺麗に作ってみせる。橋本多佳子、一見地味に見えるけれど、その端々からは強い想いがほとばしる。まさに「蛍籠 昏ければ揺り 炎えたたす」昏くなったら揺すって燃やす!そこには意志が読み取れる。2014/05/20