内容説明
安政の大地震直後に誕生した鯰絵は、滑稽と風刺に満ちており、当時の江戸っ子に大歓迎された。大地震に見舞われた江戸っ子は恐怖を笑いで吹き飛ばしたのだ。しかし、人々を熱狂させた鯰絵はあっという間に姿を消してしまう。謎につつまれた鯰絵が生み出された背景とその人気の秘密を、江戸の庶民文化の成熟や江戸っ子享質などの視点で探った意欲作。
目次
はじめに―江戸っ子が生み出した鯰絵
第1章 鯰絵説話を成立させた諸条件(地震が急襲した時;鯰絵の創作―内的要素と外的要素;安政地震以外の鯰絵の様子)
第2章 文学的な観点から見た鯰絵の隆盛(百人一首をめぐって;『野馬台詩』をめぐって)
第3章 鯰絵は落書か(落書と鯰絵;黒船騒動の中で誕生した「開国絵図;御開帳と鯰絵;開港絵図「合衆山亜米利加唐寺伯理爾天之象」)
第4章 火事をめぐる落書と鯰絵(明暦の大火と落首;目黒行人坂火事の落書とその表現様式;神田佐久間町火事の落書とその表現様式)
著者等紹介
若水俊[ワカミズスグル]
1937年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。日本大学芸術学部非常勤講師。茨城女子短期大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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