出版社内容情報
事ほど左様に、世間の理屈がむずかしい。
算法者の名誉にかけて解いてやる!
悩める人生もなんのその。痛快時代小説!
【目次】
・山を測れば
・算法合戦
・賭けに勝つには
・渡世人の算法
・まるく、まるく
・虫食い算を解く娘
・ぶった切りの明日
・水争い
・十字環の謎
内容説明
苦労して解いた「十字環」の謎に、旅の算法者が新しい解き方を示したという。この世の中で、算法にかかわることだけは、理屈を通さねば気がすまない。それでなくても、御家人の世界は、理屈が通らないことばかりだ。二文字厚助は、ほとほと嫌になっていたのである―。事件、騒動、銭勘定―。算法ならば通る理屈も、まるくおさまるためしなし。二文字厚助、悪戦苦闘の珍道中!松本清張賞、中山義秀文学賞受賞作家による、痛快時代小説。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年岐阜県生まれ。一橋大学経済学部卒。小説現代新人賞、歴史群像大賞を受賞後、2003年に『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞を受賞し、作家生活に入る。同年『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞を、2008年には『清佑、ただいま在庄』で中山義秀文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいろ
19
渋川春海(あれ。こんな字だったかな)の算学&天文学へかけた熱い生き方を読んでから、なんとなく算学もの(学ぶ人 活かす人)の話が好きだー。ってことで本書も手に取ったのだけれど、ちょこっと情けない不器用な算学者で楽しく読めた。真面目で不器用な算学者ものばかり読んでいたので新鮮。生き方を自由に選ぶことの難しい時代だっただろうに、好きなことで食べていこうとする姿勢に力を与えてもらえる気がする。2015/03/05
onasu
8
兎角、この世は理屈が通らねえ。わけても、手中に納めたはずが、掠め取られたあげく、何の説明もないのでは。 てなことで、算法の懸賞を取り損なった、算法塾の高弟で旗本の三男二文字厚助は、ひっさらった安藤曲角を追って旅に。背中を押したいとこなんだけど、太っちょで風采の冴えない上に、とんちんかん。故に、行く先々で間男にされたり、たたき出されたり。途中の寺の三男、梅吉を連れにしての珍道中。 最期、曲角に巡り会えて、算法勝負、教えを乞うことも叶うのだけど、江戸に戻って、どうしたことやら。楽しい一冊では、ありました。2012/11/04
あかり
5
揉め事を算法で解決しながら旅をする旗本三男坊が主人公の連作集。理屈にあわないことが嫌いで結構いいことも言ってるのに、最終的には理屈ばかりじゃない顛末が面白いです。人間味のある主人公も魅力的。それにしても和算てすごいんですね!2009/11/14
mitsuru1
5
江戸時代の算法者が自説を覆した算法者を探す旅先での問題を算法を使って解決していく連作短編。最後のは多分、微積分だよね、聞いてはいたけど和算って本当にすごいんだね。2009/10/17
藤枝梅安
5
二文字厚助は旗本の三男。「長谷部算法塾」の門弟である。婿入りの話も来てそろそろ落ち着くはずだったが、「十字環」の体積の求め方の解法をめぐり安藤曲角という算法術者を追いかけて安房に向かうことになる。 算法は理屈が全て。しかし世の中は理屈の通らぬことばかり。立ち寄る村々での出来事に巻き込まれながら世間の理不尽を体験していく短編集。 算法の解説は文字だけでは理解するのが難しい。人の心は文字にもならず更に難しい。2009/09/01
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