出版社内容情報
みな煩悩の炎に焼かれて踊っておるわ――。矢玉飛び交う戦場で、運と欲に翻弄される人びと。生き残りと恩賞をかけて、不可解かつ厄介な城攻めが始まった!スピード感あふれる壮大な戦国エンターテインメント!
内容説明
急な陣触れと、無理難題の主命、そして、敵方には貴族出の女城主。今度のいくさはどこかおかしい。矢玉飛び交う戦場で、運と欲に翻弄される人びと。生き残りと恩賞をかけて、厄介な城攻めが始まった。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年岐阜県生まれ。小説現代新人賞、歴史群像大賞を受賞後、2003年に『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞を受賞し、作家生活に入る。同年『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞を、2008年には『清佑、ただいま在庄』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともくん
51
人間味溢れる城攻め物語。 登場人物、ひとりひとりが生きるのに必死になっている。 死にたくないのは皆一緒。 この合戦を、どう生き抜き、褒賞を得るか。 神子田久四郎を頭に、十二人の奮闘が始まる。2021/07/05
もりやまたけよし
33
最初に仕掛けてあった仕掛けを少しづつ回収してゆくパターンの構造でした。戦国時代の戦さの現場が詳しく書かれていましたが、いつの時代も戦場は危険で大変なところです。2022/10/12
藤枝梅安
32
「城は踊る」というより「兵は踊らされる」かな。普段は農耕や狩猟などに従事している庶民たち。それが突然訳も分からず動員され、作戦の詳細を知らされず突撃させられる兵たちとなる。昔も今も「戦」はそういうものなのだ。お馬鹿な領主と右往左往させられる領民たち。かっこいいチャンバラや、戦士の胸のすくような活躍もない。ひたすら泥臭く人間臭い戦いを、筆者はユーモアを交えて、ドタバタ劇として仕上げている。強烈な風刺だと思う。2011/10/26
ASnowyHeron
27
タイトルに興味を魅かれて手に取った。黒澤映画のように颯爽とした騎馬武者の合戦ではなく、あくまで泥臭く、人がひとりひとりが泥にまみれながら、槍を持ち戦い、傷つき死んでいく様子に一種の迫力があった。それにしてもひとりの女が起こした顛末がもろに傾城だったとは、という感じだ。2016/10/17
くさてる
22
戦国時代の小さな城攻めの物語。とても泥臭く、せせこましく、残酷な感じが、時代らしさを醸し出していて、そこが良かったけれど、同時に辛くもあった。誰も幸せにならない戦と、それに翻弄される平凡な人々の、鬼気迫る闘いの描写は迫力あります。いくさの正体もまた、せせこましく、残酷なものでありました。2015/11/25