内容説明
旅と酒の歌人として人気の高い若山牧水の実像は、意外に知られていない。「あくがれ」をキーワードに、牧水の心の二面性、おかしみ、文学的出発、白秋との比較、「内的生活の記録」を歌った『別離』の構成の検証、誰がどう牧水を読んだか、「いのち」はどう歌われたかなど、牧水の心の奥を多方面から読み解き、人間的魅力をもった新しい牧水像を探る。
目次
1 こころ二つながら燃ゆ―牧水における二面性
2 牧水の歌のおかしみについて
3 『別離』の世界―構成された連作歌集として読む
4 誰にどう読まれたか―牧水における作品と読者
5 他国者の故郷―牧水と日向
6 牧水の文学的出発
7 牧水と白秋
8 「いのち」の歌―牧水を中心に
著者等紹介
伊藤一彦[イトウカズヒコ]
昭和18年、宮崎県生まれ。歌人。早稲田大学哲学科卒。大学4年のとき、学友の福島泰樹に勧められて短歌の世界に入る。現在、佐佐木幸綱編集長の「心の花」会員。宮崎県日向市の若山牧水記念文学館館長。宮崎県立看護大学教授。歌集『海号の歌』(雁書館)で第47回読売文学賞、歌集『微笑の空』(角川書店)で第42回迢空賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chisarunn
5
伊藤先生のわかりやすい牧水解説。「誰にどう読まれたか」などの項では、当時の大学の反響の様子や、同学年で親しかった北原白秋や石川啄木との交流、のちの萩原朔太郎との関わりなど、興味深いエピソードが述べられている。ミーハーなファンとしては短歌の構成がなんちゃらとかいう部分よりもそちらが面白いです、先生。 2021/06/21
てくてく
3
活動としては明治40年からの数年間だけであるにもかかわらず、大正、昭和期においても多くの人を魅了した歌人、若山牧水の一生と作品に迫ったもの。2016/06/26