内容説明
新感覚の動物舎、ユニークな手法の動物展示。大胆な発想を次々と打ち出し、旭山動物園再生への道を切り開いた同園副園長で獣医の坂東元が抱く理想の動物園を一冊に凝縮。動物園がもっているいろんな可能性を知ってほしい。
目次
1 「今」という時代と動物園(ボルネオ島のジャングルへ行く;ペットと野生動物 ほか)
2 野生動物ってすごい!(「いのち」の鼓動を感じるとき;ヒグマの子に「野生」を教えてもらう ほか)
3 日本の動物園「反省史」(動物園の導入とオオカミの絶滅;「箱物行政」の時代 ほか)
4 旭山動物園の本当の強さ(お客さんに直接話しかける;行動展示の秘密 ほか)
5 夢の動物園(パームオイルと動物たちとの関係;存在をただ認める ほか)
著者等紹介
坂東元[バンドウゲン]
1961年生まれ。旭山動物園副園長・獣医。1986年から北海道旭山動物園に勤務。副園長として、動物園全体の運営や施設作り、飼育係の人達をまとめていく他、飼育展示係長や獣医の役割も担っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やまこ
21
どうぶつ奇想天外の番組の時、動物の赤ちゃんがお母さんとはぐれてサバンナで彷徨っている姿を追ったのを見ていた。その時何故カメラマンやスタッフはただ黙って見ているのかと幼少期の時疑問に思ってた。でも今はそれが正しいと思える。動物園が動物虐待だと言われる事に真摯に受け止め、動物達と人間との架け橋になるべく世界を駆け回る坂東さん。まだまだ動物よりお客さんの方が多いだろうけど旭山動物園に行って本書によって変わった見かたで動物達を眺めたいなぁ。2016/11/13
びすけっと
8
2008年12月刊。図書館出会い本。動物学、分類学的見地から始まった西洋の動物園に対して、日本の動物園は見世物として始まった。著者が熱帯雨林で味わった様々な生きものが息づく様を動物園でも伝えたい、お客さんに感じて欲しいと手を打ち続けたのが生態を見せる旭山動物園の今なのだろう。行ったことはないけれど、園の特長を活かしつつ、全国の動物園に広がっていくのだろうな。自然の生態にできうる限り近づける、本能を引き出すあり方に共感しました。観光客ばかりではなく、市民の憩いの園になりますように。2015/08/08
パロリーヌ
1
なんだか、とても自分の考えにしっくりきました。野生動物は人間のペットなんかではなく、威厳をもった生き物なんだってこととか。ペンギンが歩いているのを見るのをかわいいと思うのは人情ゆえだと思うけど、ペンギンもペンギンなんだなと思いました。2015/11/12
Yurika Takai
1
パフォーマンスとして魅せる事だけが大切な事ではない。目の前に居る動物のありのままの姿を見せる事が動物にとっても動物らしい生活を。人間にとっても動物は個々が生きのびる為の生活を間近で見る事が出来る。本当に動物を愛してやまないからこそ思い浮かばれる発想・行動力であると思った。2013/09/02
東 健太
1
経営不振に悩む動物園をいかにして立て直すかというときに、お客様が動物に求めるものは何かを考えた結果本来の生き生きとした動物の姿を見せようと考えたことがこの本で最も学ぶべきポイントだと思いました。廃園するかもしれないプレッシャーの中でこのような考えが生まれたのは、坂東さんが常に現状を改善しようと考え続けたからだと思います。私も坂東さんに倣い、常に理想を持って現状と照らし合わせながら改善すべきことを見つけていこうと思います。2013/07/29