内容説明
当代きっての演劇評論家が、研ぎ澄まされた眼で捉えた舞台の華と影。白洲正子をはじめ、折口信夫や三島由紀夫の文学と芸能から、大野一雄の舞踏、シェイクスピア、ミュージカルまで。芸術・文学・人を綴った滋味あふれるエッセイ集。
目次
1 白洲正子の思い出(白洲正子恐怖症;白洲正子と能 ほか)
2 舞台の精神と身体(「もの」への執着;国家を殺す女 ほか)
3 戯曲の深奥(タテことば―三島由紀夫の戯曲;小町とルネ―三島由紀夫の変身譚 ほか)
4 批評家の視座(定紋の椀;豊竹山城少掾 ほか)
5 折口信夫という存在(劇評家・折口信夫;折口信夫の陰謀)
著者等紹介
渡辺保[ワタナベタモツ]
1936年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東宝演劇部企画室を経て、現在、演劇評論家、放送大学客員教授。『女形の運命』で芸術選奨文部大臣新人賞、『忠臣蔵』で平林たい子文学賞、また同書と『俳優の運命』で河竹賞、『娘道成寺』で読売文学賞、『四代目市川団十郎』で芸術選奨文部大臣賞、『黙阿弥の明治維新』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2023/12/27
筋書屋虫六
1
「白州正子の思い出」ではじまり、「折口信夫という存在」で終わるところに文筆家・劇評家としての渡辺保の覚悟や気概を感じました。普段は歌舞伎ものを読むことが多いですが、現代劇やミュージカル、舞踊、舞踏…など、実は守備範囲が広いことにも驚き。大野一雄の舞踏評など「ちくま」連載時は知らなかった(最近書店で買わないのでそういうものをゲットできません…涙)ので、所収されていて儲けた(!)感がありました。日経新聞の連載エッセイも渡辺氏の文章の巧さがよく分かり、「鯛の釣針」など演劇とは関係ないネタですが出色です。2009/09/20
AKANE
0
舞台上には演じる人の「人間の内部」が出るし、舞台評にも舞台を観たその人の「人間の内部」が見えるものなのだなぁと思った。2008/07/10