出版社内容情報
あの日出会った屋上で、ワンダースワンを持った女の子と恋に落ちた――。今なお大人を捉えて離さないレトロゲーム。もしもそのゲームが、少年時代の恋を成就させる架け橋だったなら? こんな青春をしてみたかったと思わせる珠玉の恋物語。
鯨武 長之介[クジラダケ チョウノスケ]
198X年生まれ。レトロゲーム愛好家で知られ、ツイッターでは「ゲーム探偵198X」として活動する。小説調のエッセイは本企画が初挑戦で、デビュー作となる。カクヨムに投稿された「モノクローム・サイダー」で人気を博し、二作目の「パステル・プロムナード」もカクヨム「エッセイ・実話・実用作品コンテスト」読者投票4位を記録した。
内容説明
「恐怖の大王が降ってくる」はずの1999年初夏。平凡なゲームオタクの高校生である僕は、いつも通り教室でネオジオポケットカラーの“サムスピ”や“KOF”のプレイにふけっていたが、「たまには屋上にでも行こうか」とふと思う。そこで出会ったのはワンダースワンを携えた“シルヴィアーナ”似の女子生徒。実は彼女は“GUNPEY”のマスターだった。カクヨム「エッセイ・実話・実用作品コンテスト」受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
高校最後の夏を迎えた平凡なゲームオタクの高校生・百式長之介が、昼休みの屋上でゲームをしている女の子・鯨武由美と出会い人生が動き出す自伝的小説。最初は彼女の前を通るくらいで精一杯だった彼が、勇気を出して声を掛けたことで始まった一緒にゲームをするようになる日々。なかなか思うようにいかないことばかりでしたけど、不器用でも諦めずにきちんと向き合おうと奮闘する百式くんと、共に過ごす日々を送るようになった鯨武さんが二人らしい形で積み重ねてきた関係がとても素敵だと思いました。続編もまた書籍で読めること期待しています。 2017/03/06
アウル
21
ワンダースワンが繋いだ青春恋愛モノのエッセイ小説。折込で気になったので購入した作品。ゲームオタクな主人公が偶々赴いた屋上でワンダースワンをしていたヒロインに一目惚れし、ゆっくりと時には喧嘩しつつもヒロインと仲良くなっていく内容。百式の語りはゲームのネタをこれでもかと入れているのに対し鯨武の方は普通な語りで違いがあり楽しめた。続編も書籍化して欲しいな。2017/03/06
ツバサ
19
興味本位で読んだら、あまりに青春してたので辛かったです。主人公とヒロインの心理描写を丁寧に書いてたので、途中で仲違いしたときは読者の自分もハラハラしてしまった。そして、最後付き合って終了。完全に完成しきってるから続き出ないよな……。webの方をチェックすればいいのか。2017/05/08
白義
12
ゲームで結ばれた一組の夫婦の、青春の追憶を描くエッセイ風小説。多少実話の核がある恋愛小説、という感じだろうか、そのために波乱万丈の激しさはないが、どこまでも徹底的にゲームの比喩を文章に散りばめていてゲーオタなら楽しく、爽やかに読める一冊である。「ワンダースワンがもうレトロゲームかよ!」という突っ込みはあるものの、たとえに出てくるのは邪聖剣ネクロマンサーやケルナグールといった本物のレトロゲーム揃いなので安心。中でも特筆すべきは伝説のクソゲーと呼ばれたたけしの挑戦状の扱いで、これを巡る展開にこそ本作の肝がある2018/06/03
ひかりびっと
9
レトロゲームを通した甘酸っぱい青春模様。そして、愛妻に対する最良のラブレター。2020/01/19