出版社内容情報
秀次はみずから切腹した? 史料で読み解く一級の歴史ミステリー!
天下統一を果たした豊臣政権を揺るがした《秀次切腹事件》。「実子・秀頼のために秀次を切腹させた」という通説は疑問に満ちていた。なぜ秀次は切腹し、一族は処刑されたのか? 通説を覆す、事件の真相とは……?
【著者紹介】
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内容説明
通説を覆す新解釈!秀吉は甥を殺すつもりではなかった!?―421年目の謎解きに挑む!
目次
1 豊臣政権の評価と「秀次事件」
2 事件の概要と疑問点・矛盾点
3 秀次の前半生
4 丸一ヶ月に及んだ「修羅場」
5 「イメージ」の源流を探る―「秀次事件」像の分水嶺
6 秀吉は切腹を命じたのか―『甫庵太閤記』と秀吉朱印状写の矛盾点
7 秀次切腹の衝撃―後付けされた罪状
著者等紹介
矢部健太郎[ヤベケンタロウ]
1972年、東京都生まれ。2004年、國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期修了、博士(歴史学)。防衛大学校人文社会科学群専任講師を経て、國學院大學文学部教授。専門は、日本中世史、戦国・織豊期の政治史・公武関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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OKKO (o▽n)v 終活中
15
図書館 ◆一応、学術書? ◆2回目の借出しでやっと読了。しかも最近読んだ『遅読家のための……』流のザツ読み(笑)で。いろんな意味でなかなかの悪文で読みにくいったら ◆大河ドラマ『真田丸』における秀次自刃の解釈が新鮮に思えて調べてみたくなり。結果、本書の見解とかなりの部分で一致する描き方だった。事象を「追放/出奔」「詰め腹/自刃」そして「妻妾公開処刑」の三つに分け、それぞれに絡む人物を係数として踏まえつつ文書を紐解けば、たしかに「最終的には秀吉というより『政権』の意図」という見方が真実であるように思えるねぇ2016/10/27
Yukihiro Nishino
14
豊臣秀次切腹事件に関する新説を提示した作品。秀次切腹は謀反の罪により秀吉に命じられたものではなく、秀次自らの意志で行ったものだとする。非常に斬新な意見であるが、さもありなんと思わせるものであった。2016/08/14
岡本
13
大河ドラマ「真田丸」の秀次事件のベースとなった一冊との事で、ドラマが放映される前後で読了。今迄の秀次事件とは一風変わった新説で秀吉に秀次を殺す意図は無く、秀次自信が切腹を選んだという説。通説の「殺生関白」や「秀吉耄碌説」を明確に否定しており、荒唐無稽では無く非常に興味深い内容でした。こうやって新たな説と証拠によって歴史が修正されていき、それに立ち会うというのは何とも面白い物です。2016/07/20
m
12
実は秀吉は秀次に切腹させる意思はなかった、という真田丸でも採用された説。本書が元だということで読んでみた。一冊丸々ひたすら秀次の切腹について検証する。これを読むと秀次が早とちりして切腹したのでは、と思ってしまうが、真実を知りたいような知りたくないような。太田牛一が書いたのは「信長公記」だけじゃなかったと初めて知った。2016/11/19
getsuki
12
いわゆる「秀次事件」に関する一次史料を再検証した一冊。ただ「真実に近づきたい一念」という真摯な姿勢が伺える。秀次は殺生関白ではなく、秀吉も耄碌はしていない。ただ、身内だからとお互いに分かってくれるだろう、と甘えてしまっていたことが悲劇だったのかもしれない。真田丸における秀次事件がこの説ベースなので、もっと読まれてもいいと思う。2016/07/11