内容説明
時は戦国時代末期。越中を支配する佐々成政は、天下取り目前の羽柴秀吉の野望を挫くため、孤軍奮闘していた。そして小牧・長久手の戦いで秀吉軍を退けた徳川家康に、今後も秀吉に徹底抗戦するよう直談判することを決意する。そのためには、厳冬期の飛騨山脈を越える必要があった―。著者渾身の本格歴史小説。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒。93年に「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
93
面白かったです。歴史小説というより冬山登山で新たな矜持を得た男の人生哲学でした。-越中の猛将佐々成政。信長在世時、軽んじていた秀吉は今や天下様目前。その秀吉に抗う成政。往年のライバル前田利家は既に秀吉配下となり、隣国加賀から成政を脅かす。越後に上杉。南に北アルプス。四面楚歌で袋小路。家康との同盟を目論み直談判すべく成政がとった行動は冬の立山沙羅沙羅峠越え。吹雪、寒さ、雪崩。死んでもいい、死にたい、生きる-雪山の決死行で気づいた心奥の絶望と虚無。人生は不条理、それでももう一度…。愚直な成政の心情が沁みます。2018/07/14
そうたそ
33
★★★☆☆ 本年度の中山義秀文学賞受賞作。中山義秀文学賞とはいえば、過去に澤田瞳子さん、西條奈加さん、伊東潤さんなども受賞している結構力作揃いな賞で、個人的には時代小説関連では最も注目している賞なのだが、今年の受賞作についていえば受賞した初めて作品名も著者も知ったというような感じ。戦国末期の武将、佐々成政が羽柴秀吉の野望を挫くべく家康へ協力を乞うため厳冬期の飛騨山脈を越えるという偉業を描く一作。力作だが、やはりメインが山越え一つであるため、どうしても地味だし作品に深みが感じられなかったかなあ。2015/12/15
むつこ
20
北陸新幹線開業の3月14日に間に合うように読了できてよかった。北陸といえども、越中富山城主の佐々成政が駿河の浜松城にいる家康に冬の立山を通って会いに行く話。佐々と家臣たちの凍傷と雪焼けした黒い顔、瞳がやってのけたと物語る様に噂と見たものを引きつけ、自然の脅威を身をもって体験し、共存すべきこと、生きるのびることが何かをみつけ当人たちも徒労になったがすがすがしい。家康や秀吉との対面のシーンもいいけれど、やっぱり吹雪の止んだ夜空を見上げて星や風を感じるシーンが一番好き。スキーをしたくなった。2015/03/14
あかんべ
13
久々の読み切り戦国物。というより時代は戦国だけど、山岳小説?欲を言えば二十人ほどで山越えをするならそこにそれぞれの個性を織り込んでくれたらいいのに。五~六人で登っている錯覚に陥ったりした。結局傍目から見たら、無駄としか映らないが当人にとっては、大切な時間となった。書かれてないが、一緒に同行した家臣にとっても同じではないか。2014/08/22
りらりら
11
歴史背景とか面倒なので時代小説はあまり好きじゃないのだけど、、たまたま読んでみたら実におもしろく、戦国とはどんな世界なのかリアルに感じられました。フィクションと言えばそれまでだけど、その時の息ずかいさえ感じられる記憶に残る良い作品でした。2015/07/09
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