内容説明
巨大古墳・三角縁神獣鏡・『記紀』の天皇・「四道将軍」…日本史の「空白」と呼ばれた時代の実態に迫る。
目次
第1章 日本古代史と“謎の四世紀”(“謎の四世紀”になにが起きていたのか;中国史書にみる一世紀から五世紀の「倭人」「倭国」の記録;「倭の五王」をめぐる論点)
第2章 キーワードで読み解く四世紀の日本とヤマト王権成立の謎(記紀の天皇から浮かび上がる四世紀の日本;検証!河内勢力 新王権の成立はあったのか;巨大古墳ネット・ワークにみる首長連合の実態 ほか)
第3章 古墳・遺跡からみた全国の四世紀(東北地方―王権と古墳文化の北限を示す;関東地方―ヤマトと密接な関係をうかがわせる関東の首長墳;中部・東海地方―前方後円墳と前方後方墳、両雄並び立つ地域 ほか)
第4章 特別史料(『宋書』倭国伝を読む―原文+書下し文+現代語訳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
41
図書館本。4世紀は謎の時代だ。3世紀には魏志倭人伝という中国の史書があり、5世紀には同じく中国の史書に倭の五王の記述がある。4世紀にはそれがなく謎なのだ。その謎について、どこまでわかっているかを紹介した本。私にとって新たな事実はあまり見当たらなかった。それよりも私が疑問に思っているのは、「倭の五王」が中国史書では一字名の名前になっていること。倭の五王が中国式にそう名乗ったのだろうか。でも、推古朝に中国の使者が列島にやってきたときは大王は「我はアメノタリシヒコ」と名乗っている。この謎を解いてほしかった。2020/02/19
月をみるもの
10
個別の古墳の特徴や地域レベルの時代変遷に関する本をいくら読んでも、全体像を描くのは難しい。「外からみた日本」(=倭の五王)と内部での資料(考古学+記紀の伝承)のリンクによって、「列島全体での通史」を浮かび上がらせるという本書の目論見は、ある程度成功している。もちろん、この本だけではうわっつらしか掴めないが、この本を読んだ上で、それぞれの地方のことをあらためて勉強すると、かなり見え方が変わってきそう。2019/03/22
りー
4
中国史に記述がなく、空白の時代とされている謎の四世紀。仏教によって文字(漢字)が広まるまでの時代。 各地に古墳がつくられ、次第に倭王権が確立していく最中に、何があったのか?という問いの答えを、当時の中国、朝鮮半島の事情や発掘された遺物から紐解こうとする本。専門的な語が多く、頭の中に地図が入っていないと読んでいて辛い。ただ、当然なのだが、当時の倭の国は、現代日本人が「日本」として思い浮かべる列島より、ずっと朝鮮半島を含む海域に近かったのだな、と感じた。2018/03/06
TMHR ODR
3
★☆☆☆☆この本を読んで、というよりもこの本まで古代史モノを4冊連続で読んでみて、古代史業界が惑いまくってるなということは確認できた。三角縁神獣鏡の件とかね。あっちの本で全否定されてることがこっちの本では通説として語られていたりする。そもそも、こんなに分かっていないことが多い時代の歴史を「通説」扱いすること自体が野暮じゃねーのか?とすら思う。2015/12/02
inaryoXD11
2
小ネタ集の本。詳しく知りたい人は、興味がありそうな作者の本を改めて読もう。2017/05/08