- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > ティーンズ・ファンタジー
- > 角川スニーカー文庫
内容説明
春の土曜日の昼下がり、親友の高橋と行った奇妙な見世物、“カメラ・オブスキュラ”。そこに映し出された水族館には、絶対にあるはずのない、地下への階段が存在した。恋人の良子に誘われて試したこっくりさんは不気味に告げる―「チカニハイルナタレカヒトリハシヌ」!“霊界ラジオ”から聴こえてくる謎めいたメッセージに導かれ、ぼくたち3人のせつなく、残酷な1年が始まる。伝説の青春ホラー・ノベル、待望の文庫化。
著者等紹介
稲生平太郎[イノオヘイタロウ]
1954年生。怪奇幻想文学とオカルティズムにまたがる領域を広くカバーして創作・評論・研究活動を行なっている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
76
再読。オカルトホラー小説。カメラ・オブスキュラから始まりこっくりさん、そして…という風に、謎はどんどん広がっていき、ネタバレになるから言えないけど、大風呂敷の広げ方が只事ではない。しかもただ広げるだけなら誰でも出来るけど、その道の専門家の著者らしく広げ方が実に見事。まさか高校生活が×××××や×××××に繋がるなんて、思いもしないし。畳み方もホラー小説としては鉄板で、確かな手腕を感じさせるなあ。確かなはずの日常が侵食されていく恐怖と高校時代を思い出すと感じるノスタルジア、両者共に持ったいい作品だと思う。2021/07/21
眠る山猫屋
64
以前から気になっていた一冊、この違和感に満ちた雰囲気が、読み手を異界に誘う。幻燈のような見せ物テント、こっくりさん、霊界ラジオ。不穏な小道具が高校生たちの夏を見たことのない景色に彩っていく。親友が狂気に浸食されていく恐怖。霊界ラジオは霊界からの電波を受信するだけじゃない、金星の歴史を知ることも出来るんだ。水族館を建てた一族の異端者、シャングリラへの探訪者の影がちらつく。何が起こったのか、誰が糸を引いていたのか。主人公は“正しく”還ってこれたのか。最後まで蜃気楼の向こう側に手を伸ばすような違和感が味わえた。2020/10/22
へくとぱすかる
57
青春アドベンチャーによるドラマ化を聴いてから、初めて再読してみた。放送と比べてディテールの違いが興味深い。何よりもロックバンドの存在と、英子さんが結婚していること。ドラマは本筋に影響しない範囲で、まとまったエピソードを刈り込んでいることがよくわかる。作者によれば、ジュブナイルの形は偽装であり、全く異なった種類の物語であるとのことだ。次作の「アムネジア」と同様に、解決されない物語が目的だろうか。普通には青春ホラー小説として読めるのだが、それにしてもすごく怖い物語であり、解決されないことが効果を高めている。2014/08/08
harass
51
「聖別された肉体: オカルト人種論とナチズム」というナチスとオカルト主義の唯一無二の研究書があるのだが、その著者が別名義で書いたジュブナイル怪奇幻想小説と聞いて手に取る。高校生の主人公と友人は町の水族館の見世物、カメラ・オブスキュラを見ることになるのだが… まごうことなき幻想小説。あっけにとられる展開。明らかにありがちな普通のラノベではない。1990年にオカルト専門の出版社、現水声社から出版され、2002年に角川スニーカー文庫で再発売という。いまKindleUnimitedで読める。おすすめ。2025/04/26
kana
35
水族館が舞台のホラーに興味が湧きまして。ラノベだと思ってなめてた!主人公の少年の心理描写がキザ(それがいいんだけど)なところ以外にライト感はそんなになく、水族館の閉鎖感、誰も信じられない恐怖感にぞくぞくしつつ夢中で読みました。水族館探索するよりも、学校生活パートが多め。カメラ・オブスキュラ、こっくりさん、霊界ラジオ等、学校の怪談や都市伝説的アイテムが出てきて、謎に迫るのは楽しさもあり。でも終盤はクトゥルフみのある恐怖展開で深い海の底に沈められたような絶望感。結局、意味なんてなくて、不思議がそこにあるだけ。2024/09/13
-
- 和書
- 生涯学習の支援