角川文庫 角川ソフィア文庫
時刻表昭和史 (増補版(改訂版))

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784044094829
  • NDC分類 686.55
  • Cコード C0195

出版社内容情報

二・二六事件の朝も電車を乗り継いで小学校に通い、終戦の日も汽車に乗っていた――鉄道紀行の第一人者が、家族の風景と青春の日々を時刻表に重ねて振り返る体験的昭和史! 同名の角川文庫版に口絵を新規収録。

内容説明

二銭の切符を買い、初めて子ども同士で山手線に乗ったのは小学一年生のときのこと。二・二六事件の朝も、いつものように電車を乗り継いで小学校に通い、「不急不要の旅行」が禁止された戦時下にも、父や級友と旅に出かけていた私は、終戦の日も敗戦後の混乱期も、時刻表通りに走る汽車や電車に乗り、車窓風景に見入っていた―激動の昭和と家族の風景、自らの青春の日々を、時刻表を通して振り返る、不朽の体験的昭和史。

目次

山手線―昭和8年
特急「燕」「富士」「櫻」―昭和9年
急行5列車下関行―昭和10年
不定期231列車横浜港行―昭和12年
御殿場線907列車―昭和14年
急行601列車信越本線経由大阪行―昭和16年
急行1列車稚内桟橋行―昭和17年
第1種急行1列車博多行―昭和19年
上越線701列車―昭和19年
809列車熱海行―昭和20年
上越線723列車―昭和20年

米阪線109列車―昭和20年

著者等紹介

宮脇俊三[ミヤワキシュンゾウ]
1926年、埼玉県川越市に生まれる。51年、東京大学文学部西洋史学科卒業。出版社勤務を経て、鉄道紀行を中心とする執筆活動に入る。著書は、『時刻表2万キロ』(第5回日本ノンフィクション賞)、『時刻表昭和史』(第6回交通図書賞)、『殺意の風景』(第13回泉鏡花文学賞)、『韓国・サハリン鉄道紀行』(第1回JTB紀行文学大賞)ほか多数。98~99年、『宮脇俊三鉄道紀行全集』(全6巻)を角川書店より刊行。99年、第47回菊池寛賞を受賞。2003年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

48
4分の3ほど読み進めたところで、終戦の日のエピソード。突然そこで「あとがき」になって1980年版は終わる。著者にとって「昭和史」とは終戦の日まで、だったのだ。裕福な家庭に育った宮脇少年の日々が、戦争の影とともに、坂を下るように過ぎていく。しかし著者はつねに「乗り鉄」であり続ける。後半、俄然お父さんが前面に出てくるが、ありがちなドラマはなく、淡々と、ともに時代を歩む親族としての関係が好ましく思える。広瀬正「マイナス・ゼロ」のような昭和戦前の描写が貴重だ。もちろん「あとがき」のあとの終戦直後の汽車事情も。2018/12/15

piro

33
戦前から終戦直後、鉄道の時刻表と宮脇さんの旅を通じて昭和史が語られる一冊。何と言っても終戦の日の話が心に残ります。「昭和20年8月15日正午という、予告された歴史的時刻を無視して、日本の汽車は時刻表通りに走っていたのである。」日本の鉄道らしさが表れた感。父親が国会議員という家庭に生まれ育ったとはいえ、戦中や終戦直後も汽車旅に出ていた宮脇さんは筋金入りの「乗り鉄」。戦前急行列車に乗った際、列車に連結された食堂車に行きたいのに、母親が弁当を用意している事に残念な気持ちになっていた俊三少年の姿が微笑ましい。2024/11/24

syota

13
宮脇俊三は私の好きな旅行作家。『時刻表2万キロ』が広く親しまれているが、個人的にはこの『時刻表昭和史』が最高傑作と思っている。鉄道旅行を通して戦前・戦中の緊迫した空気感がまざまざと伝わってくる。「乗り鉄」の本領発揮というだけでなく、歴史書ではわかりにくい戦前・戦中のナマの雰囲気を伝える貴重な記録として、末永く読みつがれてほしい一冊。

ささ

4
■こんなすごい本が絶版?で気軽に買えないのは本当に勿体ない。小学生から大学に至るまでの昭和の風景、風俗、戦争についても触れられた電車にまつわるエッセイ。何より驚くのは宮脇氏の記憶力。車窓の風景、その時に感じたこと、ご飯などが詳細に記されている。不急不要の旅行が禁止された中での父との旅行、母や家族との疎開。作者の電車愛に理解のある両親が印象的。戦中、食糧調達ができないので、旅行先に米を持って行かなければならないの話は、今までそこに思い至らなかった。『歴史はうそを書く。(略)時刻表にはうそがない』(解説より)2022/10/02

Mark

4
少年時代の自分にとっても「時刻表」は特別な存在だった。昭和の歴史、とりわけその20年までの期間は、この国が無謀な戦争に突き進み、破滅の瀬戸際まで追い詰められた暗い時代として理解されている。それでも、鉄道の視点から見ると、あの時代においても、貧しく、苦しいながらも人々は生き、生活していたことに改めて思いを馳せることができる。玉音放送の前後でも、変わらず鉄道は定刻運航していた、という小さいが確実な「史実」が、人間社会の堅牢さを語ってくれている気がして嬉しかった。2019/10/22

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