内容説明
仏ノルマンディの農家に生まれるも、天賦の才を発揮し画家の道を歩んだミレー。寡黙で正義感に溢れる男は、その才能を賞賛されながら、農民の真性を描こうとしたがゆえに酷評と貧困に苦しんだ。公私共に彼を支えた友だからこそ描ける、巨匠の知られざる姿、名画が生まれた背景とその魅力を、貴重な証言と共に描き出す。
目次
ミレー家の人々
故郷グリュシー―少年時代
感性を育んだ豊かな環境
シェルブールからパリへ―修業時代
不遇なパリ時代
ルーヴル美術館―巨匠との対話
美術学校と仲間たち
故郷へ、そしてシェルブール
シェルブールとル・アーヴルでの活動
再びパリ。官展に出品〔ほか〕
著者等紹介
サンスィエ,アルフレッド[サンスィエ,アルフレッド] [Sensier,Alfred]
1815‐1877年。パリ生まれ。ルーヴル美術館の管理課長として第二共和政下の美術館行政を担当。政府の反動化で辞したのち内務省に移り、退職まで役人生活を送る。以後、文筆活動とバルビゾン派の画家たちへの支援に生活を費やした。ミレーとは1847年に出会って以来、生涯の友情と代理人としての協力関係を築き、精神と物質の両面で彼を支え続けた。『ミレーの生涯』は没後、遺稿の状態で置かれていたものを、1881年に美術評論家のポール・マンツが編纂して刊行、数多のミレー伝記の原点となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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PG
3
ミレーは19Cに活躍したバビルゾン派の画家。生涯の殆どで評価されず貧乏に苦しんだ。伝記によくある通り、研究者でなく友人が書いたものなので解釈には注意を要する。▶︎ミレーは読書家で古典の読解にも長けていた。ルーヴルでは巨匠の絵を観察し良し悪しを語っていた(この部分を書いた6章が好き)。▶︎訳者は『古典絵画の知識と引用に長け、職人的な油彩やパステルの技術を持ち、同時代の芸術思潮や社会の情報収集にも聡く、かつ浮世絵や日本美術のコレクターでもあるエコロジストのインテリ画家』と記す。本書を読む前と印象が変わった。2018/12/02
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