内容説明
古代史研究の第一人者であり、1300年の歴史をもつ神社の神主でもある著者が、日本神話の原像を追究した名著。現代人の多くにとって、神話とは『古事記』や『日本書紀』に描かれた神々の話となっている。しかし本来の神話はもっと素朴で、信仰に裏付けられながら、儀礼や祭式のなかで語り継がれてきたものではなかったか。地方の祭りの場に足を運び、文献のわずかな違いにも注目。徹底的に神話を再検討し、最新の考古学の成果も取り入れた待望の新版。
目次
序 日本神話の再発見
1 神代史のなりたち(口誦と記録;神話の舞台 ほか)
2 天つ神の世界(天地の創成;天つ神の誕生 ほか)
3 国つ神群像(天と国と;葦原の中つ国 ほか)
4 神話の重層(山上来臨;海上遊幸)
著者等紹介
上田正昭[ウエダマサアキ]
1927年兵庫県生まれ。歴史学者。専門は古代史、神話学。京都大学卒。京都大学名誉教授。世界人権問題研究センター理事長、高麗美術館館長。『日本神話』で毎日出版文化賞、『古代伝承史の研究』で江馬賞、また福岡アジア文化賞、大阪文化賞、京都市文化功労者、京都府文化賞特別功労賞、南方熊楠賞をそれぞれ受賞。勲二等瑞宝賞。修交勲章崇禮章(韓国から)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とんかつラバー
8
難しい…勲章とかいっぱいもらった偉い先生の本なのだが、午後の眠くなる講義みたいだった…。古事記や日本書紀が当時の政権ageの脚色なのは分かっていたが、日本神話は大陸だけではく、北方や南方の伝承も織り混じっていたのは興味深い。2021/10/15
BIN
6
難しいので、理解しようと思うなら本腰入れて読む必要がある。日本神話を語る際に日本書紀と古事記をまとめて書かれているのを読んだことありましたが、ここでは日本書紀と古事記で語られている内容の違いや、**風土記から補足して議論されている。アマテラスや出雲の考察がよかったかな、よくわからなかったところも多々あったが。2023/04/05
mittsko
5
日本神話の教科書として知られる原著・岩波新書版(1970年)を、40年後に改訂した新版・文庫版(2010年)… 読んでみれば、なかなかガッツリとした記述で腰をすえて取組まざるをえない一冊 ※ 歴史学の立場から、考古学、民俗学、文化人類学などに参照し、神話研究、宗教研究に臨む姿勢がとにかく意義ぶかい ただし、言語学はほぼ参照されない(例えば、神名解説とか) 勢い、朝鮮半島、中国大陸との交渉についての記述が弱めとボクには感じられた …などと言っても、素人のボクには勉強になることしかありません 感謝です2024/02/04
NICK
3
神話と聞くとき、個人的にはレヴィ=ストロースやバルトによるある種の物語の類型論をあらわすタームとして思い出すし、ましてや日本の神話といった個別のものになってくると漫画やゲームを通じたサブカル的受容しか知らないのである。八坂神奈子の元ネタはタケミナカタだかタケミカヅチであって云々。この本は日本神話について、サブカル的想像力をいっさい交えず、歴史学、文献学といった学術的な分析を行っている。政治的意図によって編纂された記紀神話は原形をほとんど留めない。文献批判を通してこそ「元ネタ」の真の姿が見えてくるか。2012/03/12
aruku_gojira
1
難しかった。日本書紀、古事記の中での表記の違い、ブレ、記紀神話編纂以前の天照大神につながる神さまを辿ったり。記紀神話はそれ以前が存在しない原点ではなく、書物としてまとめられた時点であって、それ以前にも色々な地域で様々な語りで神様がいたことを追いかけていくように感じられた。再読しないと整理が難しい。2025/02/02
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