内容説明
“絶対的真理”を求めたデカルト、ロック、カントの「認識論的転回」と呼ばれる哲学革命。そして彼らの哲学を引き継ぎ、真理を映し出す“理想の言語”を夢想したラッセル、ヴィトゲンシュタインの第2波の革命、「言語論的転回」―。2つの革命によって大哲学者たちが追究した「絶対的な正しさ」はしかし、人間の自由な創造性をさまたげる足枷ともなるものだった。古代ギリシャから現代まで、西洋哲学の全体像がわかる、柏木シリーズ第3弾。
目次
第1話 師走(紫苑ちゃん登場;え、物には色がないんですか?;エレア派 ほか)
第2話 睦月雪積む(ベルクマン?;言語論的転回;認識論的転回 ほか)
第3話 如月(言語論的転回・再考;意味基準はなぜうまくいかなかったか;ノミナリズム・再考 ほか)
著者等紹介
冨田恭彦[トミダヤスヒコ]
1952年、香川県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学博士(文学)。専攻は哲学。ハーバード大学客員研究員などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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於千代
2
古代ギリシャの原子論から、西洋近代の認識論的転回、そして言語論的転回が何を残したのかを小説仕立てで述べていく。柏木達彦シリーズ3冊目。ローティの議論について初めて触れたので興味深かった。2024/10/17
issy
2
古代ギリシャの原子論を背景知識として紹介し、近代西洋の認識論的転回、その流れを受けた言語論的転回とは何か、が解説される。最終的には、これら認識論的発想は特権的知識や絶対的な真理にすがろうとするもの、というローティの否定的立場でまとめられる。デカルト、ロック、カントと連なる認識論の概要を知る入り口としてちょうど良かった。2010/06/13
Hirotaka Nishimiya
0
大学教授と理系女子学生の対話の形で進む哲学講義。 古代ギリシャの原子論から「ものには色がない」という導入から、認識論的転回、言語論的転回の説明に繋げる。多様な哲学者の論を引いているにもかかわらず分かりやすく、ストーリとしても自然で読みやすい。 一方で女子学生を姫と呼んだり、そこかしこにおじさん的気持ち悪さが…内容は面白いので我慢して読んだ。2017/07/27
左手爆弾
0
哲学における認識論的、言語論的展開を実にわかりやすく読むことができる。わかりやすいが内容に手抜きがないのもいい。哲学史をなぞる形で進むが、パルメニデスの問いを根底に置いているのが窺えるのが興味深い。また、言語論的展開によって批判されているのが「観念」だということが明確に説明されていることも重要だろう。最後に直観とは真理をつかむことではなく、その時代の文化的背景の反映という見方は批判されそうだが、ローティの立場を述べたものとしては受け止めておく価値がある問題だろう。2017/01/27
アロゲロゲ
0
古代ギリシャの原子論から認識論的転回、言語論的転回の説明を通してローティの考え方がわかりやすく語られる。おもしろかった。2013/06/19
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