内容説明
『万葉集』と『日本霊異記』では描かれる家族のありようが大きく異なる。8世紀に成立した律令制が「子を育ていつくしむ母」を「子を顧みない母」に変えた。人間を個体として認識するようになると親子関係も夫婦関係も変化してきて、母に高利で貸し付けをする子、与えた乳の代価を要求する母など、前時代には思いもかけなかった家族関係が生じてきた。今から1300年前に生まれた家族関係のゆがみを文学の中に読み解く画期的な試み。
目次
序章 古日本「家族」誌のために
第1章 母と子
第2章 父と子
第3章 親和と対立―七世紀の親子関係
第4章 制度の中の家族と親子―八世紀家族の成立
第5章 ゆらぐ家族―『日本霊異記』と八世紀
終章 山上憶良の歌う家族
著者等紹介
三浦佑之[ミウラスケユキ]
1946年三重県生まれ。成城大学大学院博士課程修了。古代文学、伝承文学研究専攻。2003年『口語訳古事記(完全版)』(文藝春秋)で第1回角川財団学芸賞を受賞。現在ウェブ上で「神話と昔話 三浦佑之 宣伝板」を運営し、古代文学・伝承文学関係の論文や資料を公開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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