内容説明
霊場はなぜ、どのように生まれたのか。われわれの祖先はそこで何を信仰し、何に祈りを捧げたのか―。青岸渡寺、壷阪寺、石山寺、六角堂、竹生島宝厳寺、観音正寺、谷汲山華厳寺など、西国三十三所の主要な観音霊場を案内し、その縁起や伝承、宗教的意義や霊場としての環境をやさしく解説。「歩くこと」と「めぐること」に宗教の原点を見出し、混迷する現代にむけ信仰の本質を照らし出す名著。
目次
総論、第十六番 清水寺
第一番 青岸渡寺、第二番 紀三井寺
第九番 興福寺南円堂
第六番 壷阪寺
第十一番 上醍醐寺、第十二番 岩間寺
第十三番 石山寺、第十四番 三井寺
第十五番 今熊野観音寺、第十七番 六波羅蜜寺
第十八番 六角堂、第十九番 革堂
第二十番 善峰寺、第二十一番 穴太寺
第三十番 竹生島宝厳寺、第三十一番 長命寺
第三十ニ番 観音正寺、第五番 葛井寺
第三十三番 谷汲山華厳寺
著者等紹介
五来重[ゴライシゲル]
1908年、茨城県生まれ。東京帝国大学文学部印度哲学科を卒業後、京都帝国大学文学部史学科に再入学。高野山大学教授、大谷大学教授を歴任。大谷大学名誉教授。文学博士。専攻は仏教民俗学。93年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
54
青岸渡寺から華厳寺…。巡礼とはただ歩くだけではなく、巡る中に物語が存在すると思う。本書は単なるガイドブックではなく、西国三十三ヶ所にある二十の寺を開山伝説からその置かれた環境、さらには歴史までをエッセイのように語った一冊。一口に三十三ヶ所とは言っても和歌山から大阪京都を巡り、滋賀岐阜に終わる長い道のりなため、知ってる寺と未知の寺院が混在し、後者はちょっとわからない部分もあり。各寺院とも庶民信仰や神仏混交、水と観音の問題にも切り込んでおり、仏教民俗学者らしい著者ならではの視点からも教えられる事が多かった。2020/11/29
slider129
21
立ち読み時に平易な文章なので気軽に購入してみたが、内容が深くて流し読むわけにもいかず、読了まで時間を要しました。かくいう私も四年ほど掛けて西国三十三箇所霊場を巡り、残りあと一桁という所。それなりに西国霊場の知識があったと思っていたが、wikiなどからは得られないことがこの本には溢れている。世界的に宗教の原点は巡礼であって、日本では聖や山伏というプロの巡礼者を真似ることによって霊場への巡礼が始まったというのは腑に落ちました。今まで観音信仰と言うのをイマイチ解ってなかったけど、この本に出会って理解できました。2016/11/16
さんとのれ
1
西国三十三所のうち、二十の寺の案内。わかりやすい解説で今すぐ巡礼に出かけたくなると同時に、巡礼の本来の意味や昔の人々の間で必要とされてきた庶民信仰についても考えさせられる。2013/09/30