出版社内容情報
柳田 国男[ヤナギタ クニオ]
著・文・その他
内容説明
古来伝承されてきた神事である祭。その歴史を、「祭から祭礼へ」「物忌みと精進」「参詣と参拝」等に分類して平易に解説。村落共同体の体験を持たずに社会に出て行く若者たちに向け、近代日本が置き忘れてきた伝統的な信仰生活を、民俗学の立場から説く講義録。
目次
学生生活と祭
祭から祭礼へ
祭場の標示
物忌みと精進
神幸と神態
供物と神主
参詣と参拝
著者等紹介
柳田国男[ヤナギタクニオ]
1875年、兵庫生まれ。1900年、東京帝国大学法科大学卒。農商務省に入り、法制局参事官、貴族院書記官長などを歴任。35年、民間伝承の会(のち日本民俗学会)を創始し、雑誌「民間伝承」を刊行、日本民俗学の独自の立場を確立。51年、文化勲章受章。62年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
33
☆☆☆★ 大学での講義をまとめた著作。限界集落が増えていく今の日本では、若者の減少による被伝承者の不在もあり、豊かな民俗芸能、祭事の消失の危機にある。祭とは何かという根本的なことも含めて、柳田国男のような綿密なフィールドワークは貴重だ。。信心のないものに見せたくないので儀式の最も神秘な部分は暗闇で行う、くんちの由来は9月9日の節供、ヨミヤの由来は忌み屋、すなわち忌みを守る場所。2022/09/25
roughfractus02
9
太平洋戦争直前の東京帝大での講演を収めた本書は、学生たちに祭と神について語る。明治以後の祭礼とそれ以前祭を区別する著者は「祭」を通して神の多層性を長年の調査から得た多様な例で説く。各部族が収穫した米を紙に包んで奉納するオヒネリが賽銭に変わり、共同体の祈りが個人の願いに変わったという指摘は、祀られる土地の神が国家神道的神へと脱土地化する方向も示唆する。各地方から出てきた学生に、祭の5要素と祭祀の手順の多様性を語る背景には、日本を単位としたナショナリズムを鼓舞する状況の中で各自の郷土の自覚を促すように思える。2025/02/10
弥勒
8
少し難しいことも書いてあったけど、いろいろと目からウロコのようなことが書かれてあった。例えば、初詣だが、私たちは個人祈願しに行くことが初詣のように思っているが、それは現代の風習であり、古来からのスタイルではない。古来、神、特に氏神として奉られている神はそこの共同体(群など)の望みを聞き叶えてくれるものであると考えられており、個人的な願いを叶えるようなことはまず考えられていなかった。これを知って、私はこれまでの神についての認識を改め、古来よりの日本人の美徳を受け継いで行きたいと思った。2015/07/31
かずい
5
1941年に柳田国男が日本の祭りについて東京帝大で講演した内容を書籍化。約80年前の講演だが文体が古く、否定の否定結論付けが多いので読みにくかった。祭のや言葉の起源について語っているが、祭とは提灯やたいまつなど催し物を司る祭礼であるというのは納得。その他、物忌や神幸、供物、参拝などについて論じている。2025/04/05
ダージリン
5
お祭りについての論考かと思って読み始めたのだが、日本人の信仰、神への対し方などが語られる。太平洋戦争直前に学生に語られたものだが、まさにこの時期だからこそ語られたと思えてならなかった。冒頭で学生に対し、学者とは医者・易者・験者・芸者と同様「者」の字のつく者として別扱いされ、いったんこの道に入れば再び尋常の民衆生活に参加することは予期しなかった、と話している。なるほど、古い時代の学者とはそういうものであったかと思った次第。本論以外でも色々と興味深い事柄を知ることが出来る。2018/05/03
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