角川文庫 角川ソフィア文庫
心より心に伝ふる花

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  • サイズ 文庫判/ページ数 272p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784044080013
  • NDC分類 773.04
  • Cコード C0174

内容説明

世阿弥のごとく生き舞った稀代の天才能役者、観世寿夫が最期の病床で綴ったエッセイ。芸の「花」の由来とその体得法、心と技、身のカマエ、足の運び、発声、能面など、演技者の立場から世阿弥の志向した芸を継承し実現しようとする情熱が文面に溢れ、能楽という演劇の奥深さ、面白さを如実に伝える。能を世阿弥のように考え演じえた寿夫が、自身の経験を通して能の真髄を語る無類の入門書。

目次

第1部 心より心に伝ふる花(心より心に伝ふる花;能面その内なるドラマ;役者と作品)
第2部 能の心(夢幻能と中世の心;幽玄な美と芸;能の伝統と継承―能役者の役場から;「砧」と世阿弥;「芭蕉」と禅竹 ほか)

著者等紹介

観世寿夫[カンゼヒサオ]
1925年東京生まれ。能役者。戦後の能楽復興期に「伝統芸術の会」「能楽ルネッサンスの会」の発足、結成に参加。55年以降、音楽家たちと音楽劇の創造活動を盛んにする。62年、フランス政府招聘日仏演劇交換留学生に選ばれ渡仏、各国で能楽を上演。70年、「冥の会」を結成し、ギリシア悲劇や中島敦の作品など上演。72年、世界演劇祭「国際演劇会議」に出席。77年、日仏演劇協会主催のシンポジウム「演劇の作業の根拠」でジャン=ルイ・バローと演技の交換。78年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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7
花の舞う舞台を大量にの花で飾り客を魅了するのもいいがシンプルな舞台でそこに無いのに「在る」かのごとく魅せる究極の芸を世阿弥は求めたのか。真似る、成りきる演技では人の心は動かない。全身全霊何かが乗り移ったような存在に呼吸さえ忘れて魅入られる。能面は無表情なのではなく、全ての感情の入ったもの。絶妙な向き加減や機微で感情が生まれる。「離見の見」は、能だけでなく様々な事に通ずる大切な技の一つかもしれない。風姿花伝は世阿弥の比較的若い頃に書かれたもの。後年にもっと極めた本も気になる。読んで能を堪能したくなった。2022/08/16

こんがら童子

4
演者の側からの世阿弥解釈はとても興味深い。しかも本来なら能楽界のアウトサイダーと言うより本流だと思われるが、アウトサイダー的存在だった著者の語り口は客観的でしかも重みがある。本物の芸を持った人が本物の芸について語った本を語るこの本は、本物の語りだ。2010/02/25

O. M.

3
能の故観世寿夫師が、世阿弥の書や演目についての解釈を中心に、能の様々な側面を語ったエッセイ集。演者・指導者としての経験に基づく解説は貴重で、能を観る方にはお勧めしたい良書です。特に私は、著者が能というご自身の職業に対して、本当に真剣な向き合い方、突き詰め方をされている、そのことに深い感銘を受けました。2016/04/29

akane

3
一能楽師が胃がんの壮絶な痛みに耐えつつ執筆された本と知った上で読めなかったことが悔やまれる。これほど観念的で説明の難しい分野でありながら、本書は世阿弥の著書を介して非常にわかりやすく、また親しみ深く能の魅力を伝えてくれる。役者は全身に気をみなぎらせて舞台上に存在する、しかし軽やかに、という矛盾した姿勢がすでにただ者ではない。また女性を演じるとき、まさか息も絶え絶えに苦しいとは! 禅や浄土に通じる世界観を持ち、時空を超え祭祀性を帯びた舞台として、世界からも評価が高い能舞台。新鮮な感動に満ちた1冊だった。2015/03/10

てっしー

3
能役者による能に関するエッセイ集。著者の独自の考えというよりは、世阿弥の思想を著者が解釈して分かりやすく伝えてくれる感じ。体系的な論文というよりは、様々な雑誌・文芸誌に寄稿したものを纏めたものなので、ややまとまりに欠け、重複も多い。特に「一調二機三声」「二曲三体」や、江戸時代における式楽化・様式化については何度も述べられている。意外だったのは、世阿弥の著書が能役者にもそんなに読まれてこなかったこと。全役者必読だと思っていた。2012/08/23

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