出版社内容情報
三国志の英雄、曹操が戦場にまで持ち込んだ中国詩歌の原点を味わう。
結婚して子供をたくさん産むことが最大の幸福であった古代の人々が、その喜びや悲しみをうたい、神々への祈りの歌として長く愛読されてきた『詩経』と『楚辞』。中国最古の詩集をやさしい現代語訳で楽しむ。
内容説明
『詩経』と『楚辞』は、古くから「風騒」と呼ばれ、多くの人びとが親しみ、学んできた詩集。『詩経』から、恋や結婚、悲しみ、怒りなどの心情あふれる歌を、『楚辞』からは、神に捧げる歌舞劇だったという壮大なスケールの歌を味わい、古代の人々のこころにふれる。子孫繁栄と五穀豊穣を願う神々への祈りの言葉から生まれ、抒情的歌謡に発展した中国詩歌。その原点であるふたつの詩集が、一冊でわかる!一番やさしい入門書。
目次
『詩経』(恋のうた;結婚の成就と破綻を歌ううた;嘆きと悲しみのうた;恨みと怒りのうた;神祭り・魂祭りのうた)
『楚辞』(九歌;離騒)
著者等紹介
牧角悦子[マキズミエツコ]
1958年福岡市生まれ。九州大学大学院中国文学科修了。文学博士。現在、二松学舎大学文学部教授。中国文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
49
これまで読んできた漢詩とは全く違った雰囲気で、こんなに素朴な漢詩があったんだ、と新たな発見があって面白かった。『詩経』は原初は宗教歌だったのに、漢代には儒教の経典として読まれた、とか、『楚辞』は神々を祭る宗教歌舞劇だったものが、漢代には一人の主人公の愛国忠君の物語して読まれたなど、解釈の仕方が時代によって異なっている点も興味深い。時代を超えて読まれ続けた古典の‘言葉’の力は偉大だ。2019/07/10
しゅてふぁん
43
中国の古代詩が読みたくなって再読。古代人の生活に根付いた素朴な詩はとっても魅力的。どの詩も人々の生活の中で歌われていたんだなと思わせるものばかりで楽しい。そしてもっと興味深いのは楚辞。一応、歌、らしいけど、歌というよりは神話や歌舞劇のよう。天の最高神を祭る『東皇太一』、天上世界・崑崙山へと旅する『離騒』などなど、一度は通して読んでみたい作品。2020/05/24
りー
21
本当にビギナー向きに易しく優しく、深い沼の触りの部分を書いてくださっている本。ありがたやー。古代中国の精神世界にほんの少し触れることができる。白川静さんも書いていらしたけれど、日本の古代との共通点も感じました。特に、鳥に関する信仰。鳥が魂を運んだり、神意を伝えたりする存在であること。言葉や歌が、神霊と繋がる手立てであったとよく分かる。楚辞の方は「うゎー、激しいな」と思いました。十二国記が好きな方は一度読まれると良いかも。親切な現代語訳つきなら😅全編通して読んでみたいです。2022/08/27
ももすけ
20
恋の歌は、自由さがあり、中国だなと何となく思う。「碩鼠」は、別れの歌として解説されており、女性が夫に愛想を尽かすところは、どこか今にも通じるような...2024/10/06
かふ
20
中国の古代詩だが黄河流域の詩経は素朴な民謡のようで、漢の時代に孔子によって解釈学として発展したとか。それは神話的な話より民話的で人が中心の歌なのだろう。植物に託して歌うのは、和歌と一緒のような気がした。桃が邪気を祓ったり妊婦の欲する食べ物だったり中国といえば桃というのはそういう伝統があるのかと思った。楚辞は辺境の長江の国なのだが、むしろこっちの神話の方が複雑で面白かった。そういう滅びの文化だからなのか、刹那的な愛の物語を感じた。屈原というヒーローがいたからなのか?屈原は漢代に作られたという説もあり。2023/08/29