出版社内容情報
『三国志』の名将関羽が愛読、西郷隆盛、福沢諭吉も絶賛した漢学の基本書!
古代中国の魯国史である『春秋』の解説書。他の解説書に比べ、文章が巧みで歴史上の人物や戦争の描写が秀逸。日本でもよく読まれ福沢諭吉は全巻を11回も通読。古代史に現れる幾多の人間模様をダイジェスト版で読む!
内容説明
古代魯国の通史である『春秋』。「左氏伝」はその注釈書ながら、巧みな文章と描写力で人々を魅了し続けてきた。生き方の指南本として、「力のみで人を治めることはできない」「一旦発せられた言葉に責任を持つ」「人間関係の基本となる親子、夫婦、家族とは何か」などの人生訓が読み取れるほか、食指・贈賄・流血ほか数々の言葉の語源としての顔も持つ。名注釈を、わかりやすい解説で読む。
目次
元年春王正月(隠公元年、紀元前七二二年)
共叔段の乱(隠公元年)
信中に由らざれば、質も益無きなり(隠公三年)
命ずるに義を以てするかな(隠公三年)
大義親を滅す(隠公三・四年)
人はことごとく夫なり(桓公十五年、紀元前六九七年)
宋襄の仁(僖公二十二年、紀元前六三八年)
晋の趙盾その君夷皐を弑す(宣公二年、紀元前六〇七年)
陳の夏姫(宣公九・十・十一年)
病膏肓に入る(成公十年、紀元前五八一年)〔ほか〕
著者等紹介
安本博[ヤスモトヒロシ]
1938年兵庫県出身。愛知大学名誉教授。専門は中国哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
27
裏表紙(かつ31頁)で、福沢諭吉も愛読した名注釈とのこと。解説によると、『春秋』には、孔子の理念と精神が込められていると考えた(17頁)。時代を批判し、ことの正邪を糺したのが『春秋』とのこと(18頁)。六夢とは、正夢、噩(がく)夢、思夢、寤(ご)夢、喜夢、懼(く)夢(137頁)。漱石も『左氏伝』の文章表現が取り上げられています。世界文学史の中で卓越したと位置づけられている。時代を超えて人の心を捉えてはなさない卓抜さが潜んでいる(198-9頁)。 2021/02/28
楽
21
14年。宮城谷昌光『春秋名臣列伝』などを読んで左氏伝に来たのだが、抜粋だからというわけでもないのだろうがどうも面白さがわからない。中盤からは解説だけ流し読み。宮城谷先生に解説してもらいがてら小説を読むのが自分にはちょうどいいのかもしれない。三国時代の関羽が愛読し(当時まだ紙は高価だったろうから、どのような形だったのだろう)、呉を滅ぼした晋の杜預は注釈書を書き(「左伝癖」の逸話も残る)、福沢諭吉は十一度読み返したというし、何より著者の左氏伝を含む中国古典に対する愛を感じるので、また挑戦してみたいと思う。2023/12/22
フク
13
#読了 原文、書き下し文、解説の構成。 歴史書の注釈書だと思っていたが、道徳の教科書のようなエピソードが多い。 春秋の筆法の読み解きが面白難しかった。 〈言は身の文なり〉 kindle unlimited2023/04/26
赤白黒
7
通読が難しい大部の古典の雰囲気を掴むのに便利なシリーズ。本書には「宋襄の仁」や「病膏肓に入る」など有名な話が収められている。 冒頭「はじめに」中、言語とその国の文化的総合力との関係について述べた箇所に膝を打つ。世間では古文漢文不要論が定期的に取り沙汰されるが、漢文訓読は日本語を形作ってきた重要な要素であることは忘れずにいたいと思う。「解説」において春秋三伝それぞれの特徴が簡潔にまとめられていたのが個人的には嬉しかった。2024/05/18
史
6
宋襄の仁のような教訓話は思ったより少ない。それよりもやはり文章の滑らかさがメインなのではないだろうか。黙読よりも音読やオーディオで咀嚼するものだからこそ、古代から現代未来まで紡がれるのではないかと。ざっと読んでしまったのが惜しいほどの古典でしょう。2024/09/26
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