内容説明
江戸時代の旗本は、今でいえば中間管理職。エリートコースに乗った旗本たちは、町奉行か勘定奉行を目指して激しい出世競争を繰り広げていた。「鬼平」こと長谷川平蔵も出世を願う旗本のひとり。民衆から愛され、部下の評判もよかった平蔵だが、なぜか上司のうけがよくない。当時、松平定信が作らせた隠密情報集『よしの冊子』を読み解き、人事に一喜一憂する武士たちの姿を追いながら、江戸時代の昇進競争の裏側を描く。
目次
プロローグ 『よしの冊子』が明かす寛政期の旗本たち
第1部 「鬼平」長谷川平蔵と好敵手たち(敵が多かった平蔵;海千山千の策士だった鬼平 ほか)
中休み「好色将軍」家斉と“乳母問題”(大変人だった十一代将軍家斉;家斉は何歳のときに側室を置いたか ほか)
第2部 森山孝盛と武士の出世(森山孝盛と「お菓子騒動」;森山孝盛の母は「教育ママ」 ほか)
エピローグ 平蔵とその好敵手たちの「その後」
著者等紹介
山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学院修了。文学博士。東京大学史料編纂所教授。『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。江戸学研究の第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
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鬼平こと、長谷川平蔵の人となり、火付盗賊改と町奉行との関係、田沼時代の昇進手段や旗本たちの生活ぶり、といった江戸中期の幕臣を扱ったいい読み物でした。2011/05/17
オルレアンの聖たぬき
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鬼平が可哀想すぎるという第一の感想。下の頑張り、周りの評価と出世は一致しないというのは江戸の昔から今まで何も変わっていなかったということ。2025/07/25
ヨウゾウ
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鬼平こと長谷川平蔵をはじめとする旗本たちの出世欲と昇進工作が書かれています。 家柄、金、人間関係、コネ、裏切り......。実務能力は無視されてはいませんが、さして重要視されていなかったようです。現在のサラリーマン世界とそれほど変わらないかもしれません。2025/07/03