出版社内容情報
「見る」という行為を通して脳の働きをわかりやすく紹介。ふだん何気なく見ている風景が、脳によって「変換」されていることを、多くの錯視画を用いながら解説していく。ワクワクするような脳科学の世界へようこそ!
内容説明
私たちが見ている世界は、本当に見えているとおりの姿なのか?止まっているはずの絵が動いたり、まっすぐなものが曲がったり―錯視画を見ると、目で見たものが、実はありのままの形ではないことに気付かされる。しばしば起こる脳の曲解だ。ではなぜ、脳はそんな解釈をするのか。多くの図や身近な例を用いながら、「見る」ことと脳の働き、さらには脳と心の関係にまで迫っていく。
目次
第1章 「見る」なんて、心のうち?
第2章 知覚と行動のつじつま
第3章 見るための脳の仕事
第4章 見る脳を覗く
第5章 心をつかさどるニューロン活動を求めて
第6章 二つの目で見る
第7章 脳、心、脳科学と私
著者等紹介
藤田一郎[フジタイチロウ]
1956年、広島県生まれ。東京大学大学院動物学博士課程修了。理学博士。岡崎国立共同研究機構生理学研究所、カリフォルニア工科大学、理化学研究所、新技術事業団を経て、94年、大阪大学医学部教授。2002年より大阪大学大学院生命機能研究科教授。視覚の脳内メカニズムについての研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たばかる
12
錯視を中心とした視覚情報の未解明な部分を脳神経の分析によって探求する経過が示される。半側空間無視やクオリアを卑近な例を用いて紹介したのに加えて、実験の詳細な記述が、使用した図形や実験の様子を描いた簡単な絵と共に展開されるので、内容をとっつきやすく感じた。/実験には電気刺激や脳損傷などを用いるため、猿の脳を使っていたそうだが、最近でもそういった研究はできるのかが疑問に思った。/6章での両耳時間差と対照した両眼時間差の研究は筆者の研究対象だけあって、極めて精緻に描かれる反面筆が粗くなったのが惜しい。2019/04/29
sikamo
1
物の見方というのは全く一通りでも単純でもないのだというのがよく分かる。脳科学的な意味で。石仏の心の話が味わい深い。2016/01/17
ice
1
途中までは脳についての知識がなくても特に困らず楽しく読めるが、途中から専門的な内容になってくるので知識がないと途中で挫折する可能性がある。 しかし、はじめほうの錯視図形を利用しての見ることについての洞察と脳の損傷による視覚障害についての解説は興味深かった。またカラーページがいくらかあるのも良かった。 途中までしか読まないつもりで買うのであれば知識のない人にも楽しめると思う。 最後まで読み通すつもりであるならば予めある程度の知識を入れておいたほうが良い。2015/06/17
ぷくらむくら
1
前半は面白かったが、後半は専門的すぎて頭が付いていけなかった。ま、著者も「あとがき」で言っている事であるが。科学的な探究心も含めて、人の「クオリア」について改めて考えさせられた一冊でした。2015/01/23
Yukinori
1
視覚と脳に関して解明されていることだけでなく、脳科学を進めていく上での考え方についても多く書かれている。読み始めるにあたってそこはあまり求めているものではなかったが、それはそれでなるほどと思うこともある。 2013/08/23