出版社内容情報
一一世紀初頭に世界文学史上の奇跡として生まれ、後世の文化全般に大きな影響を与えた一大長編。寵愛の皇子でありながら、臣下となった光源氏の栄光と苦悩の晩年、その子・薫の世代の物語に分けられる。
玉上 琢弥[タマガミ タクヤ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
10
本巻から玉鬘十帖に突入。かの夕顔の遺児である玉鬘は容姿は母並、聡明さは母以上というスペックの高さで、貴公子達の入れ食い状態を楽しむ光源氏の悪趣味さが際立つ。そして何より痛快なのは光源氏の魅力に屈し切らない芯の強さ。そもそも色恋に興味のない朝顔とは異次元の本物の源氏キラー。しかし、柏木が本当に不憫だ。作中の貴公子の中で最も不憫なキャラではなかろうか。2020/05/15
ヤベ
3
女は源氏に一度見初められたら最後、靡こうとも靡かまいとも、源氏だけがもたらし得る人生における特別の苦しみと喜びを味わわなくてはならず、源氏と出会う前の世界には戻れない。その翻弄されようにあはれを感じる。この巻では玉鬘の話が特に面白い。求愛する源氏と拒否する玉鬘との和歌の交渉は知的で緊迫感が漂うが、色の影向たる源氏は並の拒絶くらいでは全くへこたれない。玉鬘は源氏の無限の色のエネルギーから逃れるためにこれからどう方策を立てるのだろうか。2022/01/17
ヒロミ
3
源氏がガチ変態でビックリします。玉鬘かわいそうに…。でも私は玉鬘の魅力がピンと来ない。玉鬘十帖は華やかだけれど読むのしんどい帖だったりもする。原文はしばらく読まないと理解するのに時間がかかるが、こつこつ毎日読めば何となく身体に入ってくるから不思議(もちろん註釈ありきですが)。2013/10/07
ヤベ
2
源氏の子供の夕霧にスポットライトがあたりだすが、当たり前に源氏に比べて地味だ。ただ、普通の人である夕霧には読者は自己投影をしやすい。漢学を一生懸命にやったりしてとてもよい。この一般人の動きに親しみを覚えるよさは、源氏のいなくなった後の物語に強く感じるあのさうざうしさを先どったものと表裏一体だ。2023/01/31
popon
1
源氏が飲み屋のしつこいおっさんで若い子(玉鬘)に絡んでるように思えて仕方なかった…。飛ばし読みしたせいで、紫の上に大人の余裕や貫禄がついててびっくりした。2011/08/31