出版社内容情報
平安時代初期、はじめて庶民に仏教を浸透させていく過程で、「善悪とは何か」「因果応報とは」「親子の関係とは」といった仏教思想の基本を物語の形で伝えた『日本霊異記』。語りかけるような言葉で一冊を読み通す!
内容説明
「けっして僧の悪口を言ってはなりません。」仏教伝来から236年。ようやく一般の人びとの心にその思想が浸透しはじめた頃。景戒という謎多きひとりの僧侶が説話集『日本霊異記』を編んだ。古代神話の影響を残す不思議な話。冥界訪問譚や動物の恩返しといった話型は、後世の昔話などの伝承にもつながっていく。そこには、規範的な教訓ばかりではなく、古代の人々の泥臭い生活や苦渋に満ちた心が見え隠れする。元は漢文で記された難解で長大な作品を、原文に則しながらも親しみやすい口語体で訳した。120話全文収載、ていねいな注釈を付す完全版。
目次
上巻
中巻
下巻
日本霊異記「序」三編
著者等紹介
三浦佑之[ミウラスケユキ]
1946年、三重県生まれ。成城大学文芸学部卒業。同大学院博士課程単位取得退学。共立女子短期大学教授、千葉大学教授、立正大学教授などを歴任。千葉大学名誉教授。専攻は古代文学、伝承文学研究。著訳書に『村落伝承論』(五柳叢書、第5回上代文学会賞)、『口語訳 古事記“完全版”』(文藝春秋、第1回角川財団学芸賞)、『古事記を読みなおす』(ちくま新書、第1回古代歴史文化みやざき賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAGISAN
1
平安初期、薬師寺の僧により編纂された説話集。古代を経て、仏教による国造りがなされた奈良時代における、現世での因果応報の物語。当時の風習もわかり面白い。口語訳で読みやすい。注釈、年表、系図が豊富。2025/01/24
small_akuto
0
日本最古の説話集だっけ 仏教の道徳的なところとか、禁欲的なところは今の社会でも必要とされてるけど、なんでこんなことでこんな目に遭ってるんだろって暗くなる場面も なんか暗いんだよな 欲望に身を任せることと、禁欲的であることは違うよね 足るを知るって言葉があるけど、今の僕は足らずを知るが大事なんじゃないかと。欲望が満たされ続けてることはないけど、ときどき欲望を満たしてしばらくの間気持ちをおさめて、またときどきは欲望を満たす 足りることがないと知りながら自分を満足させてあげることが大事なんじゃないかと思いました2025/03/08
ブブジ
0
聖武天皇の頃の話を読みやすくかつ解りやすく口語訳したこの本、なかなか興味深かったです。仏教が日本に広まった頃は新興宗教のような迫害の中で広めていった事実を浮かび上がります。要はあんまり迫害していると仏さまから罰が当たるよ、だから信じたほうが良いよと訴えます。今は仏教が広く受け入れられているけど、結局どの宗教にしても同じなのかなと思いました。2025/02/09
-
- 和書
- 比べて悩んで落ちこんで