出版社内容情報
全人類にとって永遠の謎である死。冥界へと導く、ミステリアスな存在である死神は、落語や漫画、文学の世界でもさまざまに暗躍してきた。円朝の創作落語の元になったとされるグリム童話「死神の名づけ親」。アラルコン「背の高い女」、小山内薫「色の褪めた女」。織田作之助の未完の名作から、水木しげる「死神のささやき」、つのだじろう「死神の涙」まで。――時代やジャンルを超えた傑作が集結。待望の文庫オリジナル。
内容説明
全人類にとって永遠の謎である死。冥界へと導く、ミステリアスな存在である死神は、落語や漫画、文学の世界でもさまざまに暗躍してきた。円朝の創作落語の元になったとされるグリム童話「死神の名づけ親」。アラルコン「背の高い女」、小山内薫「色の褪めた女」。織田作之助の未完の名作から、水木しげる「死神のささやき」、つのだじろう「死神の涙」まで―。時代やジャンルを超えた傑作が集結。待望の文庫オリジナル。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
アンソロジスト、文芸評論家。1958年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。「幻想文学」「幽」の編集長を歴任。『遠野物語と怪談の時代』(角川選書)で第64回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
98
「死神」に関するアンソロジーでコミックから落語まであって楽しめました。最初に水木しげるさんの三島由紀夫がらみのコミックがあり最後はつのだじろうさんの作品です。さらに落語家(円朝、金馬、小三治)による「死神」でこれは以前に聞いたことがあります。これの原案がグリム兄弟によるというのも「死神の名づけ親」で初めて知りました。っスペイン幻想小説集で読んだアラルコンの「背の高い女」が新訳で楽しめました。織田作之助の「死神」も初めてですがよかったですね。2023/04/08
sin
50
『死者の短剣』の後に、この『死神』“メメント・モリ”死を想え…水木・コケカキイキイが三島の自決に隠された死神の陰謀を暴く!?落語・昭和の世代にはお馴染みの噺。グリム・えっ、落語の元ネタ!!織田・ボロ線とは鉄道会社に無体な表現。武者小路・説明臭い台詞回しが臭い。源氏・騙された世間知らずの認識とその彼が念ずる怨みの晴らし方に唖然!アラルコン・小山内・鈴木・してみると死神の有り様は女性なのか、しかし本邦の不吉の女性に比して彼の地の女性の気味の悪いこと…。つのだ・『恐怖新聞』ならぬ恐怖原稿、読んではいけない漫画!2023/03/29
tomi
36
三島の自決をテーマにした水木しげる「死神のささやき」から始まり、読んだら死ぬ呪いの原稿をめぐる恐怖漫画、つのだじろう「死神の涙」で締める、死神をテーマにしたアンソロジー。円朝原作の二代目金馬と小三治による落語「死神」とグリム「死神の名づけ親」の並びは、お馴染みの落語の原作がグリム童話だったのかと驚き。織田作之助「死神」は線路に取り憑いて脱線させる死神の話。武者小路実篤の戯曲「死神と少女」は死神が登場しても、恋の女神のような良い神様になるのが実篤らしい。東雅夫編。2024/01/30
ミエル
20
コミック、小説、落語と形式が様々なアンソロジー。テーマは「死神」、幻想小説やダークファンタジーもあれば、落語、実話怪談調の小品もあって楽しめた。グリム童話と円朝落語「死神」の近さがここまでとは…、興味深い。ドイツ文学の元ネタを江戸の処世に置き換える腕、センスの塊としか思えない。個人的には水木しげる御大は別格として、織田作之助が好み。未完なだけに、余韻が楽しい。2023/04/30
橘
11
死神ばかり集めたアンソロジー、楽しみました。古典落語「死神」はサゲが多種多様にある噺で自由度が高くて良いです。初めて生で聴いた死神は、柳亭こみち師匠の「死神婆」。あまりに強烈で爆笑しました。自由が過ぎます!織田作之助「死神」は死神婆を思い出しました。オダサクの「あたし」な死神、活き活きしてて面白かった。源氏鶏太「死神になった男」は怖い。「呪ってやる」じゃなくて「死ぬように祈ってやる」というのがまた。。水木しげる先生は三島事件がショックだったのかなぁ。「あっ見知らぬわらべ……」(←好き)2024/12/04