感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
迦陵頻之急
0
上巻の感想で、芥川龍之介は詰まらないエピソードばかり取り上げる、と書いたが、無論芥川の小説自体が詰まらないわけではない。芥川にとって、説話は近代的な心理描写や作者自らのテーマ性を盛り込むための器であって、素材そのもののナマの面白さは二の次、ということである。近代以後の今日から見ると、近代的に解りやすく普遍化された小説よりも、説話自体の荒々しさ、登場人物の鮮明な輪郭、強烈な色彩感に惹かれてしまう。我々の身近にも居そうな人物、ではなくて、粗削りながら唯一無二の強烈なキャラクター達なのである。2024/05/05
-
- 和書
- 私の「世界かけある記」