内容説明
「自分に入用なものは、品物でも知識でも、自分で骨折って堀出すよりほかに途はない」(「錯覚数題」)。芸術感覚にあふれ、文学と科学を鮮やかに融合させた寺田寅彦。随筆の名手が、晩年の昭和8年から10年までに発表した、科学の新知識を提供する作品を収録。豆のために命を落としたピタゴラスの悲劇について書いた表題作をはじめ、関東大震災の記録「震災日記より」「猫の穴掘り」「糸車」等全23篇。
目次
蒸発皿
記録狂時代
言葉の不思議
錯覚数題
KからQまで
初冬の日記から
猫の穴掘り
変った話
マーカス・ショーとレビュー式教育
庭の追憶
ピタゴラスと豆
山中常盤双紙
鷹を貰い損なった話
喫煙四十年
鳶と油揚
夢判断
鴉と唱歌
自由画稿
随筆難
糸車
震災日記より
三斜晶系
埋もれた漱石伝記資料
著者等紹介
寺田寅彦[テラダトラヒコ]
1878~1935年。東京生まれ、高知県で育つ。東京帝国大学物理学科卒業。理学博士。東京帝国大学教授、帝国学士院会員などを歴任。東京帝国大学地震研究所、理化学研究所の研究員としても活躍。物理学者、随筆家、俳人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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黒猫
3
【図書館本】 初・寺田寅彦。夏目漱石門下の1人である物理学者が晩年に発表した作品の随筆集。 専門的な物理な話ばかりではない。 日常生活からの着眼点が面白くて、表題からとてもかけ離れた話題にさらりと変えるのに違和感を抱かせない文章力が凄い。 他の作品も読んでみたいと思った1冊。2022/01/19
mft
3
名前だけ知っていて読んだことがなかったので題名が面白そうな一冊を手に取ってみたら、最晩年の随筆集だった。確かに読ませる文章なのだが、内容はとりとめない、という印象(『自由画稿』のはしがきが内容のまとめのよう)。「哲学者列伝」はそのうち読みたい2021/11/04
surucucu
2
関東大震災の1週間前から始まる「震災日記より」はこれだけでも読む価値があるのではないだろうか。 角川源義、鎌田浩毅2名の解説が合わせて23頁ありこれもなかなか面白い。その解説にあるように寺田寅彦の科学教育への思いが滲み出た作品が多く、今読んでも「おっしゃる通り」と呟いてしまう。2020/11/30
オサム
0
知性というのは、こういうことだな。なるほど漱石が可愛がるはずだ。2021/09/12
Ban Harry
0
信仰の対立を哲学の共存と表現するところがすき2021/02/11