出版社内容情報
板谷 敏彦[イタヤ トシヒコ]
著・文・その他
内容説明
日本人はこの戦争の重要性を知らなすぎる―。欧米では“The Great War”と称される第一次世界大戦。その実態を紐解くと、覇権国と新興国の鍔迫り合い、急速な技術革新とグローバリゼーションの進展など、WW1開戦前夜と現代との共通点が驚くほどに見えてくる。旧来の研究の枠を超え、政治・経済・軍事・金融・メディア・テクノロジーなどの幅広い観点から、戦争の背景・内実・影響を読み解く、日本人のための入門書。
目次
戦争技術の発達
国民国家意識の醸成
兵器産業の国際化と戦艦
世界から見た日露戦争
20世紀の新しい産業
第一次世界大戦勃発
日本参戦
戦線膠着
戦争の経済
消耗戦の中で
新兵器の登場
終戦へ
戦後に残されたもの
著者等紹介
板谷敏彦[イタヤトシヒコ]
1955年、兵庫県西宮市生まれ。作家・コラムニスト。関西学院大学経済学部卒業後、石川島播磨重工業入社。その後、日興証券に入社し、ニューヨーク駐在員・国内外の大手証券会社幹部を経て、2006年にヘッジファンドを設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
77
雑誌「エコノミスト」に連載されていたものをまとめたもので、いわゆる金融資本主義から帝国主義時代に入るあたりから書き起こしている。兵器の進歩や日露戦争もかなり詳しく、またその頃成立したとされる地政学の理論もダイジェストで紹介する。そして大戦自体は経済的側面は多くの図版を用いて解説、わかりやすい。また、ヨーロッパ人の著者のものに比べ日本の関わりについてもかなり詳細に書かれていて、表題に偽りなしだ。ただし戦争に至るプロセスは他の優れたものの方が深い。一部首をかしげる記述もあるが、入門書としては適当と思った。2023/11/29
Panzer Leader
57
高校の歴史の授業だと日本の近代史は明治維新、日清・日露戦争、そしてWWⅡとの流れでWWⅠはエアポケットのような存在であったと自分は記憶していた。しかし本書を読むと日露戦争にWWⅠの遠因があるとか日本の艦隊が北米や地中海に進出していたとかで目からウロコの思いだった。この戦争の内実を政治・軍事・技術開発観点からは勿論の事、証券業界出身の著者らしく経済・金融の点からも鋭く考察した好著。2022/04/30
YT
15
あまり詳しくない第一次世界大戦史を読む。 兵器、電信、鉄道などのテクノロジーの進歩は、苛烈な戦争に軍事転用されていく。 兵器に金をジャブジャブ使う感じ、今の価値観で語ってしまい申し訳ないが、資源がもったいなさすぎる。もちろん人間の命もだ... 「楽観的な態度による戦争の忘却は、いつでも我々を戦争に引きずり出す可能性がある。」という点は我々が戦争を忘れてはいけない教訓になっている。 ナチスへの足音、クルド人差別、パレスチナ問題、中国の反日感情 などの大きな歪みを後世に残す事になっていたとはね...2024/03/21
sasayan99
15
これは大作で名著。大戦の流れ、経緯、結果が簡潔にまとめられており初学者向けとは謳っているが素晴らしいボリュームだ。大戦に限らず歴史の結末を知っている現代人は『あの政治家が馬鹿だから、無能だから』と単純に罵倒しがちだがそれは全く正しくないことが判る。大きな流れ、うねりの中で抗えない状況に苦しみ熱狂し怒り…そんな個々の一滴一滴が歴史という大河を紡ぐ。もちろん指導者にも能力差というものは確かに有る。が決してそれだけが歴史を動かす因子ではないのだ。2022/08/17
ゆるひと
15
日本人に馴染みの薄いWW1とはどんな戦争だったのか。語るべき盛りだくさんのエピソードを短い章分けて解説した書。 戦局以上に、当時の世界で何が起こっていたか、同時に勃発推移する様々な事件を駆け足で追っていきます。 単体で何冊も本が書けてしまうような重要な事件や人物が目まぐるしく登場しては消えていく凄い時代。 自問自答に終始してる日本製の国内外の歴史観は義務教育の段階で視野拡大が必要なのだと感じました。現代日本の立ち位置を確認するために第一次世界大戦への認識の拡充を!2021/07/13