出版社内容情報
しゃべって、踊って、人を食う! それでもやっぱり、猫はかわいい。
内容説明
猫に生まれ変わってご馳走を食べに来た父(『日本霊異記』)、名刀「猫丸」の名前の悲しい由来(『古刀銘尽大全』)、かわいい子猫に化けて焼きおにぎりをもらった大猫(『むかしばなし』)、ペットの鳥をとってしまい怒られ反省した猫の改心(『藤岡屋日記』)ほか、古代から江戸期までの猫にまつわる怪談・奇談を33編収録。読みやすい現代語訳、詳しい語注と、ていねいな解説でたっぷり味わう、怖くて奇妙でユーモラスな化け猫奇譚集。
目次
1 しゃべる猫(解説 しゃべる猫―猫怪談のエッセンス;猫、ものを言うこと―『耳袋』より;猫、もの言わぬこと―『耳袋』より ほか)
2 古代・中世の猫(解説 古代の猫;猫に生まれ変わった父―『日本霊異記』より;猫の夢―『源氏物語』より ほか)
3 江戸期の猫(解説 江戸期の猫;屋上に眠る猫又―『安斎随筆』より;ねこまた談義―『古今百物語評判』より ほか)
著者等紹介
今井秀和[イマイヒデカズ]
1979年、東京都生まれ。大東文化大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。国際日本文化研究センター機関研究員などを経て、大東文化大学非常勤講師、蓮花寺佛教研究所研究員。専門は日本近世文学、民俗学、比較文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
58
古代から江戸まで、喋る猫、人を襲う猫、化ける猫に猫又と猫尽くしな一冊。古代から江戸まで文献に記された猫に関する奇談怪談を集めていて、兎に角読んでいて楽しい。今昔物語は別として源氏物語や更級日記にも猫の奇談が記されているというのは嬉しい発見。ただ化け猫がその本領を発揮するのはやっぱり江戸時代に入ってから。妖怪「火車」から遊女をだます猫や猫を生んだ娘、主人の死体に乗り移り方記を打つ猫から鍋島の化け猫騒動まで、質量ともに豊富で夢中になって読む。原典や参考文献も豊富で、猫みたいに手元に置いて愛玩したい一冊でした。2020/10/22
ロア
17
「ねうねう」って鳴くのかわいいなぁ(●´ω`●)♡2020/12/03
うなぎ
15
日本霊異記、源氏物語、徒然草などの古典から、江戸時代の黄色本や耳嚢に鍋島の化け猫騒動など、猫の不思議な話や怖い話を分かりやすい解説で紹介してる。表紙の国芳の猫っぽさに猫ちゃん可愛い話が載ってるかと思ったら、昔の日本では猫は魔の仲間とされたりと怪しい生き物として見られてたんだなぁという印象。こんなに可愛いのに。それでも最初らへんで紹介されてた、耳嚢の雀を捕まえ損ねた猫が「残念なり」と言う姿はやっぱり可愛い。2022/06/29
翠埜もぐら
15
帯の「化けて踊って人を食う!それでもやっぱり猫はかわいい」に魅かれて購入。古代から江戸時代までの主に化け物系猫に関する話を集めた本です。古代、船に積んだ経典を守るためと言うよりは、船荷をネズミから守るためにのせていた猫は当然日本にも入って来たのですが、居るだけでネズミその他を寄せ付けないありがたい生き物だったのです。近い距離で生活していても犬のような上下関係がいまひとつはっきりしない猫は想像の余地が大きかったのでしょうか?でも猫が人を喰うって?それは無い無い。お猫様はそんな悪食じゃないですよ。2021/05/18
ハルト
10
読了:◎ 日本の、古代・中世と江戸期の猫にまつわる不思議な話を記した文献をとり纏めた猫尽くしの一冊。怪談奇談が現代語訳で33編入っており、比率としてはやはり江戸期の怖い猫話が多い。丁寧な解説・訳註があり、古典に馴染みのない人でも読みやすい。人間にとって猫とは身近にいる可愛いだけの存在ではなかったということがわかり興味深い。2020/08/31