出版社内容情報
大同小異、塵も積もれば山となる、月とすっぽん、我田引水、他人の芝はよく見える・・・これらはすべて「編集」の真骨頂を暗示する。もとより編集は本や雑誌や映像に特化されるものではない。認知の仕方、歴史観
の作り方、アートフルになること、ハイパーテキストに向かうこと、つまりは世界観にかかわるすべての作業のプロセスに編集がある。ラグビーにも料理にも音楽にもファッションにも編集があるというべきなのである。編集の醍醐味をいろんな側面から提示した松岡正剛の真骨頂。
内容説明
連想=多読=暗黙知。世界は編集されたがっている。
目次
第一章 意味と情報は感染する
第二章 類似を求めて
第三章 連想、推理、アブダクション
第四章 ハイパーテキストと編集工学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
編集力ということで、知に関するものをまとめたりあるいは情報をどのように整理するかに関する書物を選んで評論しています。松岡さん得意とする分野であると思います。私はほとんど手に取ったことがない書物ばかりで新鮮でした。松岡さんにとっては周知のことばかりでしょうが私にはかなり難しく感じられました。ここにある本を数冊挑戦してみることにしようかとも思いました。2019/12/26
ばんだねいっぺい
27
松岡さんの本は、雑多なものをポンポン投げてくれるから面白い。この巻では、ヴィトゲンシュタインの「カタルトシメス」や気になってやまない「アフォーダンス」とオシリスとイシスの神話が引っ掛かった。2020/06/28
Akito Yoshiue
11
筆者の提言する編集工学のことがよくわかる。繰り返し読むことになりそうだし、紹介されている本も興味深いものが多かった。2020/01/08
Hatann
5
千夜千冊エディションの第13弾。直球勝負の「編集力」というタイトルにて30冊の本を紹介しながら編集への思いが語られる。最初にマラルメの「絶対書物」が紹介されて正直なんのことだろうと思うが、編集を基礎づける様々な現代思想や認知科学の概念を経て、ハンス・ブルーメンベルクの「世界の読解可能性」に至るころには当初の疑念が氷解していく。自己編集の欠けがちな主語的な思索方法ではなく、述語的に繋がる思索・活動にこそ編集が動く。ロジカル・シンキングからアナロジカル・シンキングへの発想の転換を通じて自己の突出を促す。2020/04/27
Takumi
2
この夏に亡くなられた松岡正剛の本領発揮と言ってもいい『編集力』。2024/10/23