目次
第1章 省く・縮める(高柳蕗子『はじめちょろちょろなかぱっぱ』七七九夜;金子兜太監修・あらきみほ編著『小学生の俳句歳時記』三六二夜 ほか)
第2章 類で分けて(大野晋・浜西正人『角川類語新辞典』七七五夜;水庭進編『現代俳句表記辞典』一一八四夜 ほか)
第3章 日本語の謎(小池清治『日本語はいかにつくられたか?』一六九七夜;馬渕和夫『五十音図の話』五四四夜 ほか)
第4章 ことばと背景(ヨン=ロアル・ビョルクヴォル『内なるミューズ』六二五夜;アンドレ・ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』三八一夜 ほか)
付録 レーモン・クノー『文体練習』一三八夜
著者等紹介
松岡正剛[マツオカセイゴウ]
編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ研究を情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。2000年、イシス編集学校をネット上に開校し約600名の師範代を育成。編集術を広く伝授している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
110
松岡さんの文庫版千夜千冊10冊目です。「ことば漬」ということで、言葉を中心とした著作についての解説です。最初の章は俳句、和歌などが中心となっています。いくつか読んでいるものもあります。次の章では辞典類で私の好みの分野ですが、あまり読んだというものはなく楽しめました。さらに日本語についての著書や外国人の作者を中心にした言語論的なものが収められています。まだまだ続いていくのでしょうか?2019/06/23
阿部義彦
20
松岡正剛さん、今回取り上げるのは言葉=言語です。髭や髪は切ったり剃ったりして外見を変えることは可能だが、言語とは祖国と切り離せず、精神の内側から湧き上がるもの。どれも、興味深かったです。特に類語辞典=シソーラス に関しての記述が心に残りました。こうしてる間にも少数言語の最後の話者がどんどん息絶えている事を自覚しなければ。子供のうちから英語を教える愚かさに気づける人の余りの少なさにはゾッとする。英語が言葉を殺す最大のスナイパーであるとは、至言です。2020/02/24
きょ
5
千夜千冊エディション、3冊目に買ったのがこれだ。帯に「言葉はどんな力をもつのか」とある。深い。だが、私がいちばんスラスラ読めたのは『小学生の俳句歳時記』の紹介文だった。楽しんじゃってるセイゴー先生を身近に感じられた。日本語は、独自の世界をたくさん持っている。もっと考えなければ、知らなければと思う。2021/01/12
なおこっか
4
ああ、楽しかった。ことば、という括りがあまりに大きいので少々正剛先生にしてはとっ散らかった編集印象だったけれど、表現方法としてのことば、編纂されることば、日本のことば、世界のことば、どの切り口も興味の対象としてなぞっておきたい。とっ散らかっるまでに幅広いので、なかなか追うのは大変だけど。何しろ小学生の俳句から、オーケンのエッセイから、リービ英雄さんや小池清治氏までが俎上にあるのだ。芥川は『侏儒の言葉』で取り上げられている。芥川の担当医が井上井月の俳句に関心あったという千夜千冊も気になる。2023/03/31
Hatann
4
千夜千冊エディションの第10弾。ことばをめぐる40冊の本を紹介しながら思索を進めるが、まず「省く・縮める」「類で分けて」にて日本語を述語的に分析してみる。そのうえで「日本語の謎」の小見出しにて文字通り日本語について語られる。水村美苗は言語を「現地語」「普通語」「国語」の3つに分けるが、訛りの問題は別にしても、日本ではこの3つの違いが意識されにくい。良くも悪くもこの無邪気さが日本の特徴ともいえる。種々の書籍を通じて各々の日本語の成り立ちを検証し、改めて日本語が現代的課題を抱えていることに気付かされる。2020/05/17