内容説明
優れた文学でもある聖書。そこには、超絶的な神だけでなく王も奴隷も、聖人も罪人も、あらゆる人間の生き様が刻みこまれている。天地と悪の初源を明かす創世記から、イスラエルの民の歴史、救い主イエスの生涯、そして世界の終末を告げる黙示録まで。そのすべてを、人間が息づく百の物語として芥川賞作家が紡ぎ出す。数々の名場面、悠久のドラマがよみがえり、豊富な図版とともに新旧約聖書を読み通すことができる決定版。
目次
旧約聖書編(初源の詩・愛の創まりと悪の発現;族長たちの時代;指導者モーセ;約束の地カナンへ;イスラエルの黄金時代 ほか)
新約聖書編(イエスの生涯;再臨に向けて)
著者等紹介
木崎さと子[キザキサトコ]
1939年、旧満洲・新京市生まれ。少女時代を北陸で、20代と30代をフランスで過ごし、帰国後、執筆を開始。「裸足」で文學界新人賞、「青桐」で芥川賞、『沈める寺』(新潮社)で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞したほか、小説作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ベル@bell-zou
24
きっかけは「聖☆おにいさん」と「チェーザレ」。漫画だけではなく小説を読んでいても”あぁまたキリスト教か”と思うこと多々。もう少し知識があれば楽しめるんじゃないかと考えていたところ友人が譲ってくれたこの本。「サムソンとデリラ」サンサーンスの曲は知ってたけどこんなもの凄い話だったとは!と驚き、日本神話の須佐之男命の暴れっぷりがダブった。愛されダビデと賢人ソロモン。預言者と時の王に翻弄され続けるイスラエル。真の信仰ってすごいなぁ。↓2021/04/17
Hiroshi
6
旧約の「天地創造」から始まり新約の「ヨハネの黙示録」の終末までを読んでいく本。著者は「時間は神によって創造され、それはイエスという神の子の顕現を必然のものとすると同時に、人生は神によって私のために創られた聖なる時間なのだと分からせてくれます」というが、信者ではないのでそこまでは理解できなかった。一番大切なのは神を信じること。神を試す行為は神を信じていないと同じだと。聖書だけではなく歴史的な事実も書かれている。12部族がパレスチナの地に住むようになって以降は史料が残っているのだろう。読み方などの説明も良い。2023/09/11
takakomama
6
旧約・新約聖書の物語を100のトピックで紹介。私は絵画鑑賞が好きですが、宗教画は聖書の知識がないとよくわかりません。聖書はボリュームがありすぎて、難しくて、私には読了できません。物語の流れを大まかに知って絵画鑑賞がより楽しくなりそうです。2019/04/09
Y
5
旧約の神はすぐに人間を滅ぼそうとしたり町を全滅させたりなかなかひどい。一方、新約ではイエスの生涯を通して神の愛が語られている。旧約と新約は本当に同じ神なのか?と思ってしまった。神も成長したのかな。聖書を物語として読むと、人間の弱さや希望、愛といった普遍的なテーマが描かれていることに気づく。寓話的な要素も多く、そこに込められた教訓は現代人の心にもに響く。ただ旧約の部分は正直よくわからなかったなあ。難しい。2025/02/17
みじんこ
5
聖書が百話にまとめられ、版画や写真なども差し挟まれながら流れを追うことができる。わりとあっさり目な記述の場面もあった。本の成立や時代背景なども触れられており、書かれている内容をそのまま受け取るという立場ではないのは特徴的である。人は何度も過ちを犯し、異教の神を拝んだりして敵の侵攻などの罰を受けたりもするが、それが人というものだとも思え、それでも完全には見捨てられないところに主の憐れみ深さを感じる。物質や名誉から切り離された貧しい人々こそが生とは何か=生を創った神を知っているとする考え方は納得した。2024/03/10