内容説明
後に「俳聖」と呼ばれ、俳諧をそれまでとは比べものにならない高みへと引き上げた松尾芭蕉。そのすべての発句を取り上げ、1句1句に出典・訳文・制作年次・語釈・解説を付した。また、全句を季語別に集集して配列。芭蕉の各題への取り組みや、「稲雀」「椎の花」などの新たに開発された季語、斬新な無季の発句の姿を浮かび上がらせる。芭蕉の「不易流行」の基本理念が凝縮された980余句の集大成。俳句実作にも大いに役立つ1冊。
目次
春(元日・初春(今朝の春・…の春・春立つ)
門松(松飾) ほか)
夏(四月の桜狩;更衣 ほか)
秋(初秋・立秋(今朝の秋)
残暑 ほか)
冬(神無月(神の留主・神の旅)・小春
御命講 ほか)
雑(雑(月花;名所))
著者等紹介
松尾芭蕉[マツオバショウ]
1644‐1694年。江戸時代前期の俳人。伊賀上野に生まれ、武家奉公をしつつ俳諧になじむ。江戸で宗匠となり、晩年の10年間は旅と庵住を繰り返しつつ、俳諧の革新を成し遂げる
雲英末雄[キラスエオ]
1940年愛知県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。早稲田大学名誉教授。文学博士。専攻は近世俳諧史。2008年逝去
佐藤勝明[サトウカツアキ]
1958年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。文学博士。和洋女子大学教授。専攻は近世俳諧史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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無識者
5
かなり初期の作品だと思うが「夕顔にみとるゝや身もうかりひよん」で「うかりひよん」という表現が魅力的であった。梅の花を題材にした句が多く、今と昔の文化の差を感じた。「近江蚊帳汗やさゞ波夜の床」汗というとなんか生々しくなりそうだが、「さざ波夜の床」とまで書くとむしろ清々しい。2019/10/07
るい
3
芭蕉の俳句にも変遷があり、その時々での句風が違うということを知ったのが衝撃だった!芭蕉も人生の中で、俳句を極めていったのだと思うと、衝撃である。山ほどある俳句を眺めると、改めて「古池や」や「閑かさや」の名句ぶりが伝わってくる。芭蕉の中では、虚実の俳句が最も芸術度が高く、完成されていると感じてしまう。2018/08/10
nuno
3
俳句って、芸術的な観点から見た日本語と日本人の美的感覚が世界最高峰であることの一つの証明なのではないかと思う。自分は小説などを「絵画的」と表現することがあるが、これに対して(芭蕉の)俳句は言葉の羅列そのものにまで絵画と同じような味わいがあるのだ。その上、たった17音が示す情景は心に深く染み入り、口にした時のリズムまで拘りぬかれている。奥が深いことこの上無し。これは語り継がれるべきだなと思います。日本文化よ、欧米化の波を押し返してくれ。2014/03/24
Hisashi Tokunaga
2
とに角眺めました。俳句の史的展開とやはり短詩型などの文学理論そして実践なくして楽しく読むにはつらいね。再読候補でもあります。芭蕉は何のため約千もの句を詠んだのか。生活の為という視点の論者はいないのかなぁ~。つまり、ご当地の偉大なコピーライターだと思いますけど。何しろ全国津々浦々に句碑を建てさせたんだから。2014/09/26
メルセ・ひすい
2
14-47 鮎・鵜飼 ★又やたぐひ 長良の川の 鮎なます ・この長良川の鮎膾は、ほかに比類のない美味しさだ。。語…長良の川ー鵜飼で知られる岐阜の長良川。「たぐひなからん」との掛詞。鮎膾ナマス鮎の身を刻み蓼酢で調味した料理。★俳聖 俳諧をその清冽この上ない感性で世界へ! (^0^) 一句ごとに 出典…訳文…制作年次…語釈…そして、解説 ♪(*^ ・^)ノ⌒☆ 配列は前句、季語別。。芭蕉様の人生のペースとなる理念「不易流行」 о(ж>▽<)y ☆ 980余句。。。 2011/02/01