内容説明
日本人の美意識を決定づけた最初の勅撰和歌集。四季の歌、恋の歌を中心に、平安朝初期から100年間の名歌1100首を時間の経過や歌の照応関係に留意しながら20巻に整然と配列する。「ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ」(紀友則)、「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを」(小野小町)など、現在にいたるまで人口に膾炙している多くの歌を擁する。訳と詳細な注を付けた文庫版の最高峰。
目次
春歌上
春歌下
夏歌
秋歌上
秋歌下
冬歌
賀歌
離別歌
羇旅歌
物名
恋歌
哀傷歌
雑歌
雑躰
大御所御歌
墨滅歌
真名序
著者等紹介
高田祐彦[タカダヒロヒコ]
1959年東京都生まれ。東京大学卒。中古文学専攻。東京大学助手、神戸大学助教授を経て、青山学院大学教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
105
これも、前田さんの「古典と日本人」で一番信頼できると書かれていたので手に取りました。初めて1111首+αの歌が収められていることがよくわかりました。昔の人は本当に和歌が日常のことのような感じなのですね。ページごとに現代語訳があるので非常に読みやすさがあります。またその歌に出てきている用語がほかの歌でも使われていることを示してくれて参考になりました。2024/03/07
瀧ながれ
31
右ページに歌が、左ページに簡単な訳注が、という構成なので、参照しながら読みやすくてよかった。この構成好きです。ぜひほかの和歌集もこれで出してください。内容は、探し物があってざっと通読したので、歌を深く味わうにはいたらなくて、掲載順に意味があるようだなあとか、「よみ人知らず」てあえて隠してる(場合がある)とかいうけどどういう人なのかなあとか、歌とは違う次元が気になってました。ちまたの歌をわしわしとかき集めたような「万葉集」と比べると、公表するために作られた歌という感じがしました。それは勅撰和歌集だし当然か。2018/09/17
とみぃ
23
「617 業平朝臣の家にはべりける女のもとに、よみてつかはしける/つれづれのながめにまさる涙川袖のみ濡れてあふよしもなし」「618 かの女に代りて返しによめる/浅みこそ袖はひつらめ涙川身さへ流ると聞かばたのまむ」。男は女のもとに行くことができず涙で袖を濡らしていると訴え、女に代わって歌を詠んだ業平は、袖が濡れる程度しか涙を流さなかったのかい、涙で身体が流れるほど泣いてから出直してこい、と切り返す。この当意即妙な遊びの感覚が『古今和歌集』の魅力の一つと思う。それにしても恋歌が多すぎてちと食傷気味。2021/08/20
テツ
23
春夏秋冬のうつりゆく景色を。生まれてから何度目にして何度嗅いでも新鮮に感じる四季の色と香りを。長い間ずっと焦がれて焦がれた心の底から愛おしく思う相手を。人間は古来から自らの中身を揺れ動かしたものを、その揺れ動いた感情を他人に伝えたくなる生き物なんだな。この瞬間に目にした世界を、この瞬間の自分の心中を切り取り人間の歴史が続く限り瑞々しく保存することを可能とした言葉という発明。そして和歌。それは決して色褪せることなく口にした瞬間に景色と感情をありありと蘇らせる。2018/12/04
Francis
15
猫町俱楽部の課題本「古今和歌集の創造力」に続いて本物の「古今和歌集」を詠んでみた。右頁に短歌。左頁に現代語訳、解説が配されている。右頁だけ読んでいくのも良し、右頁をじっくり味わって左頁を読むのも良し。古今和歌集の素晴らしさが十分に味わえる。恋歌は切ない気持ちを歌ったものが多く、j-popのラブソングとあまり感覚は変わらないかもしれない。2021/03/06