出版社内容情報
津村 記久子[ツムラ キクコ]
著・文・その他
内容説明
オケタニアザミは「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生。髪は赤く染め、目にはメガネ、歯にはカラフルな矯正器。数学が苦手で追試や補講の連続、進路は何一つ決まらないぐだぐだの日常を支えるのは、パンクロックだった!超低空飛行でとにかくイケてない、でも振り返ってみればいとおしい日々。野間文芸新人賞受賞、青春小説の新たな金字塔として絶賛された名作がついに文庫化。
著者等紹介
津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪府生まれ。大谷大学文学部卒業。2005年『君は永遠にそいつらより若い』(「マンイーター」を改題)で第21回太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞を受賞、2009年『ポトスライムの舟』で第140回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
228
音楽に依存した女子高生の高校生活の話!映画『リンダリンダリンダ』みたいな感じで、バンドを組んで、あーだこーだと盛りあがる話だと勝手に思い込んでて、読んでみたら、まったく違う話でした(笑)女子高生アザミのちょっとずつ大人の階段をのぼって成長する話でし(^^;)ちょっと読みにくかったんですが、趣味があるっていいよねと思い、そして、ひとつの事にこんなに取り込めるアザミが羨ましいです。さらにチユキの破天荒さが、いい味だしてました(^^)BGMにはガガガSPがいいかな(^^;)2016/11/13
そる
219
音楽をやる人、と言うよりは音楽を聴くことで何とか自分を保ってきた、というタイプの「私は人よりできない」を自覚してる女子高生の奮闘記的お話。好きなもの(音楽)にハマることで、それを心の拠り所にして生きている。私も似たところがあるので共感。思考の描写がすごくて、こんな細かいことまで思うなんてかなり人に気を使ってる、私も常識あんまないから見習わなきゃ、って思った。「アザミは、自分が人を疲れさせることを知っていたし、けれどどうにもそれを止めることができないこともわかっていたから、チユキにはとても感謝していた。」2024/09/01
修一朗
152
引き続き津村記久子さん初期作品を。これもよかった。切り取った時期は進路が定まらない高3,「君は永遠にそいつらより若い」の高校生版だ。で社会人版が「ポトスライムの舟」になるのだろう。音楽に依存して音楽で自分の周りを埋めることで生きているアザミを津村さんの分身と思って読む。これでもかっていうアメリカのパンクロックが出てくる。このレビューはBlink182を聴きながら。自分のためだけの評価ノートとか,息を吸うように音楽を聴いてなんとか生きているアザミ。全肯定してくれる両親や理解者のチユキがいてくれて幸せ者だ。2023/08/17
ゴンゾウ@新潮部
109
なんて書けばいいのだろう。青春小説と言えばスポーツやバントや何かにぶつかって成長する話や恋ばなをイメージするがこの作品は全く当てはまらない。音楽を聴くことが好きな少女の普通の日常を描いてる。バント活動がうまくいかず聴くことに逃避するアザミ。自ら何をするけどはなく流されるだけのアザミ。流されながらも刻々と近づく卒業。周りは進路を決めるのに自分だけが取り残される。だがもどかしいくらい少しづつ賢くなっていく。いらいらしながらも共感する自分がいた。ラストページがとても心に響いた。兵庫氏の解説も素晴しかった。2017/02/05
はたっぴ
103
学生時代のキラキラギザギザした気分を思い出した。青春の息吹や戸惑いや危なっかしいものが行間からこぼれ落ちてきて、それを掬い取るのが難しく、いつものように感情を揺さぶられる津村作品。大人になったら纏うものが増えて、自分をさらけ出すことは少なくなった。私は成りたかった大人になれたのかな?と瑣末なことを考えたり、若い頃に貫きたかった意地だとか正義を懐かしむ読書となった。主人公アザミのように人生を支えるアイテム(ここでは音楽)を持つ人は、たとえ不器用でも強くてしなやかだ。私も音楽と読書に支えられて大人になった。2017/05/23
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