出版社内容情報
岩井 三四二[イワイ ミヨジ]
著・文・その他
内容説明
「親の仇が、いまや味方か―」尽きぬ戦のなか、恩賞をめぐる一喜一憂も束の間、ひとたび気働きを怠れば、そこには我が身と一族郎党の死が待っている。毛利に滅ぼされた尼子党にあって、秀吉・家康という天下人の下を生き延び、流浪の身から一代で因幡国鹿野の大名にまで出世した亀井茲矩。秀吉に「琉球」を願い出た男が、戦塵の果てに辿り着いたのは―。家族と家臣を守り抜き、乱世に夢を追い続けた男の波瀾の生涯を描く。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年岐阜県生まれ。小説現代新人賞、歴史群像大賞を受賞後、2003年に『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞を受賞し、作家生活に入る。同年『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞を、08年には『清佑、ただいま在庄』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
33
亀井茲矩の生涯をコミカルかつ精緻に描いた「琉球は夢にて候」が文庫版として再登場。再読。湯新十郎が山中鹿之助の計らいで、亀井家に婿入りし、亀井茲矩となり、秀吉に仕えて周囲の大名とのせめぎ合いを潜り抜け、関ヶ原前に家康に着き、亀井家の生き残りを図った。遠い子孫の亀井静香氏が、政界でしぶとく生き延びている姿に亀井家の歴史を見る。地方の国主の苦悩と決断の様子を読みやすく書き切った筆者の力量には感心させられる。もっと注目されてもよい作家だ。2011/10/02
金吾
28
主人公はそんなに知らない人なので興味深く読めました。身代が大きくない人がいろいろ手段を尽くしながら時流に乗るというのは現代にも通じると思いました。ただ関ヶ原の功績で因幡一国を所領にすることができると思うのは夢を見すぎと感じました。2022/12/17
糜竺(びじく)
20
浪人から43000石の大名になった亀井茲矩のお話。戦国時代を生き抜くのは大変だと感じた。2025/02/01
onasu
9
戦国期、流浪の身から因幡国鹿野(現 鳥取市)の城持ち大名にまで出世した亀井茲矩(コレノリ)。初見の歴史ものは、興味が尽きません。 尼子家再興を目指す山中鹿介の元に参じ、秀吉との連絡役となることから、勇躍する。ただ、何せ後ろ盾のない小禄の身。秀吉に取り入り、大身の大名と誼を通じ、関ヶ原の役で家康に付くことで…。こういう視点も、おもしろい。 変わったところが、異国に関心があり、江戸期に幕府から朱印状を得て、南蛮貿易に乗り出し、藩財政にも寄与させている。常夏の琉球への興味?、秀吉より流求守を賜っていたとか。2013/01/10
よっちゃん
8
今に繋がる日本人の沖縄に対する日本人のずる賢い体質が透けて見える作品。明治に繋がる長い鬱屈した日本の始まりは既に戦国時代から始まっていたことが良くわかる。天下人の一人勝ちしかしその反動もまたすざましいものが有る。2015/08/25
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