内容説明
つまみぐい、積もり積もればフルコース!メルヴィルの名作『白鯨』の揚げパンから、オースターの人気作『ムーン・パレス』のチキンポットパイまで、当代きっての名翻訳家でもある当店店主柴田氏が選りすぐった文学の中の食の数々。人の心を揺さぶる一皿を、主人公ならずとも、読んだら思わず食べたくなること請け合いの、極上のエッセイ。文庫版訳し下ろしボーナストラックつき。
目次
Menu(メニューについて)
Hors d’euvre(I love Garlic;Be Vegetarian ほか)
Fish(鯨の回想風;イカ・タコ ほか)
Meat(禽類;豚肉を食べましょう ほか)
Specials(Let’s Party;クリスマス特別メニュー ほか)
Beverages(一杯のお茶を持てば;一人酒場で飲む酒は ほか)
Desserts(リンゴはなんにもいわないけれど;カフェ等 ほか)
あとがき対談 ボーナストラック
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年生まれ。東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
95
文学の中の食の数々をエッセイとしてまとめた本。著者は翻訳家ということでメルヴィルやポール・オースター、リチャード・ブローティガン、バロウズそして小津安二郎のことなどにも触れている。海外文学というのは私の苦手でどうも相性が悪い。しかしこの本を読んでいて読んでみたいなというのもいくつかあった。『白鯨』などは前から読んでみたい一冊。ジョン・ヒューストン監督の映画の『白鯨』は何度か見たことがあるので筋は分かっているのだけれど、文庫本の厚みでつい尻込み・・・・・2019/11/15
佐島楓
67
主に英米文学からの「食」の引用。アメリカ文学には明るくないので、日本の作品にはない特殊な傾向があることがうっすらとわかった。しかし柴田先生のエッセイも軽妙で面白い。文学+エッセイの美味しいとこどりをした作品集。2019/08/04
shikashika555
65
「文学の中では人はやたらよくし死ぬし、トイレに行くシーンは現実よりぐっと少なくて恋愛やセックスは多分現実より多い。そう思うと食べるのは現実と同じくらいか、ちょい少ないくらいか」 で、小説の中の食にまつわるシーンを集めたエッセイ。 いままでさほど意識してこなかった食にまつわるシーンをあらためてみてみる。 メルヴィルの『白鯨』から給食の鯨のから揚げの話になったりと面白い。 挿絵が素敵でどなたかと思ったら吉野朔実さんでした。2022/08/01
seacalf
61
人を食ったような斜め上をいく視点で文学作品をつまみ食い的に捌いていく。きっと美味しいものはあまり出てこないだろうなと思ったら予想通りで、引用されるのは一筋縄ではいかない話ばかり。でもやはり面白くて、途中で挿入されるご自身のエピソードも楽しい。先生の大学寮時代に食べたそうめんや、外釜に水を炊いたごはんの不味さも相当なもの。自分を腐れインテリと評する辺り屈折してるなあと思いつつ、でもたっぷり余裕があるので柴田訳の作品はいつだって安心して読める面白さ。『ダブリンの市民』と『クリスマスの思い出』は再読をせねば。2022/12/23
sankichineko
30
本を読むと、食べ物のシーンが一番印象に残っていました。それが豪華なご馳走でも、貧しい食卓でも同じ。どれだけ食いしん坊なのか。この本も、あとがきには登場する食べ物が美味しそうじゃない、と書かれていましたが、私には結構美味しそうに感じました。生理的に無理なものもありましたが。しかし、さすがは柴田さん。食べ物が一番気になる私でも、食事以外のシーンが気になって、「これは読んで見たいかも」、と思わせる描写がたくさん。読みたい本リストがまた増えてしまいました。2015/09/13