内容説明
理性で抑えようとしても、身体のどこかが疼くような感覚とともに深まっていく憎しみ―。飛行中に空と海との感覚がわからなくなる状態に陥った男を描く「バーティゴ」、亡くなった恩師の夫から送られてきた形見分けの謎を描く「マニキュア」、トラウマを抱えた女性とその母親との葛藤を描く「チョコレート」など6編。表面上は異変を見せないまま、身体の中で黒く広がっていく執念を凝視した心理ホラー。
著者等紹介
松村比呂美[マツムラヒロミ]
1956年福岡県生まれ。オール讀物推理小説新人賞最終候補作2作を含む『女たちの殺意』で2005年デビュー。03年より携帯サイトにて小説の連載を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
73
短編6編。妬み、怒り、恨み、憎しみ、執着…憎まれて当然の人かも知れない、でももしかしたら逆恨みかも…いつもうしろが気になる、誰かに見られている気がする…そんなあなた、もしかしたら誰かに「恨み忘れじ」と思われているかも。読みやすく、もっといろんなのが読みたいと思わせる一冊。2019/07/14
ぷっくん
50
初読み作家&読友さんオススメ!暗くて恨みが詰まった短編集^ ^なかなかダークで結構暗い物語。短編集なので読みやすくわかりやすい。でも恨みの短編集は途中から心が折れそうになってしまう(^^;;2016/07/04
buchipanda3
46
”恨み忘れじ”という題名が一番怖い。この言葉がずっと頭に植え付けられていたので、どの話も先の展開が気になって仕方がなかった。出てくる嫌な人物は本当に非道い性格。読めば読むほどムカつき具合が度を越していった。さらに淡々としながらもすらすらと流れるような文章で描かれるので話にのめり込んでいく。やがて捻りの効いた真相に辿り着き得も言えぬ気持ちに包まれた。各篇どれも味わい深いが、切ない「永遠の友達」、オチが効いてる「チョコレート」が特に印象に残る。さらりとしてるけどゾワッとする締め方がクセになる作品だった。2018/12/02
cryptoryou
36
基本やった側は忘れるけど、やられた側はずっと心の中に静かに憎しみを蓄積させてゆく。まさにタイトルのとおり「恨み忘れじ」。恨みを募らせた女性たちが、冷静に復讐へとシフトしてゆく姿が恐ろしい作品でした。2019/04/10
なな
26
オムニバス。一気読み。この世界観 大好き。どれも 良かった。2017/03/05