内容説明
201X年、新金融システム始動前夜。1秒を制する者が世界を制す―まさに弱肉強食の戦国時代さながらの混沌を前に、世界中のくせ者たちが動き出す。米最大IT企業トップ、華僑の若きトレーダー、娼街育ちでEU経済界の女帝、そして流浪の日本人、矢野。世界経済の支配権を賭けた四者の熾烈な攻防は、ついに最終局面へ―。未曾有のスケールと、手に汗握るコンゲーム。現代版「三国志」と絶賛の第26回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
著者等紹介
桂木希[カツラギノゾム]
1961年、高知県生まれ。大阪工業大学経営工学科を卒業後、コンピュータエンジニアとして活躍。そのかたわらで小説を書き始め、初めて完成させた『支配せよ、と世界樹は言った』(『ユグドラジルの覇者』改題)で第26回横溝正史ミステリ大賞を受賞。破格のスケール感を持たせるストーリーテリング、登場人物たちの高いキャラクター性が評価され、国際謀略小説の新鋭として期待されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Walhalla
28
世界標準となる電子取引の導入を機に、アジア・EU・アメリカの各国のリーダーが世界経済の支配権をめぐってしのぎを削ります。最新のネットワーク技術を武器に、新たな金融スキームのインスタンス化を狙いますが、ITと金融が本格的に描かれていますね。物語の背景は「200X年」となっていますが、実際のITの発展スピードが物語を超えているようにも思えて、非常に興味深いです。最後の最後のエピソードがとても安心して読めたのは、それまでずっと緊張感があり、先の読めない展開だったからなのだと思います。とても面白かったです。2025/05/21
RIN
20
2006年に出された2008年の金融・ネット国際世界を描いた近未来小説。既に過去になった「未来」の物語を読むのは意外に面白い。ネット社会については解らないけれど、少なくとも国際金融に関してはこんなことがもしかしたら起きていたかもしれない、とパラレルワールドのように感じさせるし、ひょっとしたら現実の中国やEUの内外情勢からすればこれから現実化するかもしれない、と思いながら読む。本作は物語力先行だが、著者のデビュー作だから筆力は大甘に見て★3.5かな。2014/07/24
sayan
9
思想や経済、そしてIT、金融など色々とギュッとつめてSF仕立てにした小説。軸となる人物の特徴も特徴的で、金融世界の覇権争いをめぐるやりとりは大変楽しめた。現代版「三国志」という応援文句があてはまるか正直わからないけれど、こういう作風は面白かった。機会あれば他の作品も読んでみたい。2017/10/29
月をみるもの
8
ちょっとアダルトな至道流星? 世界征服の大変さについては、こちらをどうぞ:https://bookmeter.com/books/5748822018/03/23
yuki
6
金融経済SFミステリーといえばいいのかな?色々な要素の詰まった、読み応えのある一冊。内容の性質上、読みづらさもあるのだけれど、金融関係の仕事をしている人なら特に楽しんで読めると思う。こんなことあるわけないと思いながらも、リアリティーを帯びている箇所もあり、勉強にもなった。2016/12/04