出版社内容情報
瀬尾 まいこ[セオ マイコ]
著・文・その他
内容説明
みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学卒。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞。翌年単行本『卵の緒』でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
322
出版当時、中学の国語の先生だった瀬尾さん。そんな瀬尾さんが描いたリアルな学校現場。『いじめは会議室で起きてるんじゃない。教室で起こってるんだって感じ。ぐだぐだ言ってる暇あるんだったらとりあえず教室行けよって思う』と、その現場をなんとかして変えようとする みちると優子。しかし、思いだけで解決できるほど生易しいものではありません。決して簡単な事じゃない。決して生易しいものでもない。そんな世界を見て、私にはこの先何ができるのか、何を変えることができるのか。ただ流れる日常の中に、ふと考える時間をくれた作品でした。2021/06/29
mae.dat
266
まいこさんの作品だからさ、ホッと心安らぐストーリーを期待していたのですが、こう言う作風のお話も執筆されるのですね。イジメと学級崩壊の話。崩壊はしていないのかな。ヤンチャは過ぎる感じがしましたが。みちると優子の関係も不思議。自傷行為の話は背中がゾワゾワしました。こう言うのは苦手なんだなぁ(꒪ω꒪υ)。と、改めて。そこで背表紙のストーリー紹介みたら「2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語」とある。そこで頑張って最後迄読むか。となったのですが、一体誰が救われたのか、どうも胃の腑に落ちず(ó﹏ò。)。2022/11/03
テンちゃん
241
『瀬尾まいこ様、あなたはまさに現代の学校で課題になっている「いじめ」の現状を鋭い視点で描き、学校生活を子どもたちが育っていくための温室だと伝えた』(○_○)!!『温室の温度を上げ、光となり、子どもたちの成長を支える親、教師の存在』⇒『家庭での基本的な教育・学校でのルール作り』⇒『どれも子どもたちが現実社会で生きていく上で身につけていかなければ生きていけない絶対条件❗️』⇒『しかし、大人たちが子どもを放任化し、忙しさから対話をせず、それぞれの行った行動を「自己責任」だと押し付けて罰する事が⇒2ページ目へ2019/07/14
ゆきねこ
192
壮絶ないじめの描写に胸が締め付けられた。20年位前の作品で、今の社会だったら決して許されないだろう。この物語での教師は本当に無能。弁当捨てられる、教師を怪我させる、車など物品を破壊する、制服を破く、今だったら、全部アウト。警察の介入です。裁判沙汰になっている。それなのに、学校に通い教室に行こうとする2人の主人公は素晴らしい。ここ20年で管理社会が強まっているのか、若者のエネルギーが減ってきているのか。校内暴力もなく安心して学校に通える今の子供達は幸せです。しかし、なぜ不登校が多くなるのか、大きな謎です。2021/08/29
mariya926
174
以前から気になっていた本でしたが、いじめとか出てくると嫌だなと思って読めずにいましたが、瀬尾さんの本はほとんど読んでいるので挑戦しました。やっぱり内容はいじめで、しかも瀬尾さんが中学の国語の教師だったのでリアルでした。私は中学の時に1年ほど自分の個性を殺して静かにいたり、高校では無視されたりしたことがあるので、イジメ系は避けていましたが、客観的に読めたので傷が癒されたと感じました。カウンセリングなどでは効果が無いように見えましたが、誰かが自分の為にかけてくれた言葉は心に残っていることを感じさせてくれました2022/01/23