角川ホラー文庫
チャリオ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043924028
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

塾講師・光一のアパートの部屋の前が泥だらけになった。周囲には不自然なタイヤ痕。彼は泥の中に金属片を見つけ驚愕する。“challio 0914”。10年ほども前、自転車で出かけたまま行方不明になった、男児の自転車のエンブレムだった。隠してきた秘密が、光一を苦しめ始める―。亡霊自転車の怨念と、過去にとらわれ続ける人々の深い苦悩。第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の著者による「泣けるホラー」、待望の書き下ろし。

著者等紹介

雀野日名子[スズメノヒナコ]
福井県生まれ。大阪外国語大学卒業。2006年ジャイブ小説大賞入選、07年に「あちん」で『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、08年に同作でデビュー。「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bugsy Malone

63
自転車を残したまま行方不明となった少年アキ、物語は彼を巡る人々によるモノローグで綴られて行く。各章の語り部達の構成も良く練られていて、アキが残した自転車が起こす怪異の先に見えた光景には言葉に尽くせない想いを持ってしまう。読んだ著者の作品は「トンコ」に続いてこれで2作目ですが、双方ともとっても印象に残る貴重な小説、こんな感覚は中々無いものです。2024/01/19

アメマ

24
自転車という無機質な物体が巻き起こすミステリーホラー。テーマがテーマだけに1歩間違えば失笑と共に駄作本へのランクインかと思われたが案外最後までしっくり読み切れた。不器用な人間達で形成された不器用な家族の破滅がストーリーの流れとしてあるのだが、同時に時折文面に差し込まれる地元のドブ川の情景描写が絶妙な演出を醸し出している。怖い話か?と言うと怖くはない。寧ろ登場人物達の歪んだ心情に哀しささえ感じる。オチは光が射す展開だが、人によってはガッカリするパターンかもしれない。僕はOKでしたけど。☆2.52016/06/13

nyanco

22
久々のホラーに背筋がゾワゾワ。第一章だけで完結しているのに…と思ったら、次々と少年の家族のもとへ…。誰からも理想の家庭と思われていた少年の家庭が実は…。ただのホラーに終わらず、泣かせるホラー、この分野を確立させてほしいと感じる期待の新人作家さん。映像化はあまり好きではないのですが、この作品は観てみたい。自転車の特撮と、あの『音』が巧く伝われば映像化も面白いと感じました。2009/10/29

kishikan

13
雀野さんの小説は「あちん」「トンコ」に続いて3作目。どれも味わい深く印象に残るが、「チャリオ」は一味違った余韻を残す。少年が本当に欲しがっていた家族とのつながり、その想いを彼の愛する自転車に置き換え表現しているところなど、おどろおどろしい怨念・苦悩に満ちた単なるホラー小説を超えた仕上がりになっている。人ではなく、心を持たない無機物(自転車)が心を持ったような動きを見せることが逆に怖さを引立て、クライマックスの盛り上がり、ラストの爽やかさを一層引立てているように思える。さすが雀野さん!と賞賛を送りたい。 2011/02/27

さこ@灯れ松明の火

12
トンコもそうだったけど、雀野さんのホラーはどこかほわっとするとこがある。終盤の少年とにいちゃんのやりとりとか。バッドエンドあってこそのハッピーエンドだけど、これは一種のハッピーエンドとも呼べるんじゃないかと思った。そしてさり気なく達哉が美味しいキャラだった2010/05/13

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