内容説明
ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。待望の「粘膜」シリーズ第3弾。
著者等紹介
飴村行[アメムラコウ]
1969年福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞しデビュー。第2作『粘膜蜥蜴』が「このミステリーがすごい!」で6位、「週刊文春ミステリーベスト10」で7位、「最高の本!2010」国内ミステリー編で2位など、年末ミステリーランキングに続々ランクインする。10年同作で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞。ホラーとミステリーを融合した次代のエンターテインメント小説界を担う新鋭として、今最も注目を浴びている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
203
このシリーズは、ホントになんだかなあ。相変わらずエグい、グロい描写に馴染まないところがあるんだけど、少し馴染んできた自分もいる。豚との…、アホだ!もちろん、豚との…馴染まんわ!恋愛的要素あり、冒険的要素ありの話だったが、ナムール編が面白くて一気読み状態。エグかったけどね(笑)ラストの方は、ヘモやんと亀吉とゆず子が置き去りにされた感じで、雑な終わり方という印象をうけました。ちょいとネタバレになりますが、もしその場に居たら、ヘモやんと亀吉のババ抜きのシーン、ハリセンあったらぶっ叩いてツッコむ!2018/12/23
absinthe
143
あまり違いの無いと思われた兄弟。最後の選択が…!/ このパラレルワールドの世界の描写は独特で、見てみたいし見てみたくない。南国の描写も面白い。登場する人物の狂いっぷりも背景によくなじんでいる。登場人物の動機や行動は良く練られていて、この狂った世界では筋の通った行動だ。粘膜シリーズはどれも好きで「…蜥蜴」が一番だと思うがこちらもなかなか。グロいがユーモアにくるまれて読後感はそれほど悪くない。
H!deking
100
いやー、今回も面白かった!毎回想像を上回ってきますね。ラストも最高でした。福田監督あたりに映画化してもらいたい(笑)2019/05/31
あも
90
再読。寡作というか遅筆のせいか…いやいやどう考えても内容のせいで決してメジャーになることはないであろう飴村行。第二次大戦中の日本をモチーフにしたパラレルワールド。戦中の砂埃が舞い散る空気感、熱帯地方の前線の蒸し暑さと土臭さに、河童や蜥蜴人間といった異形の物が奇妙な程ぴったりと融合しリアリティを持って迫ってくる。万人受けはしないエログロ怪奇な物語でありながら、するすると読まされてしまう所に著者の才能を感じる。2人の兄弟の生活から戦場での話まで膨らませれば大長編にできそうな話を1冊にまとめているところも贅沢。2013/11/30
H!deking
88
夏の粘膜再読祭第3弾は粘膜兄弟!いやーマジでめちゃくちゃ面白い。オチがわかってるのにこんなに面白いとは。いやー最高。続いて念願の粘膜戦士初読みいきます!2022/08/06