内容説明
帝の寵愛を一身に集めた桐壷の更衣が産んだ美しい皇子と、かかわる人々の姿を情感豊かに写し取った、世界最古の長編小説「源氏物語」。切なさといとおしさに満ちあふれた恋模様や、熾烈な権力闘争など、いつの世も変わらない人間の営みを描ききった日本文学の最高傑作が、與謝野晶子の優しく格調高い筆致で現在によみがえる、54帖全訳の決定版。第一巻には「桐壷」から「花散里」までを収録。
著者等紹介
與謝野晶子[ヨサノアキコ]
明治11年(1878)12月7日、大阪府堺市に菓子商の三女として生まれる。旧姓は鳳、本名は志よう。堺女学校に進み、「源氏物語」など古典や、尾崎紅葉、幸田露伴、樋口一葉などの小説を読む。明治33年(1900)、後に夫となる與謝野鉄幹(寛)が主宰する新詩社の「明星」に短歌を発表し、翌年には上京して処女歌集『みだれ髪』を刊行。自我の大胆な肯定と、恋愛と青春の賛歌は大きな反響を呼ぶ。明治37年(1904)、詩「君死にたまふこと勿れ」を発表。浪漫派歌人として近代短歌の開花期をもたらし、明星派を代表する歌人として活躍したほか、古典文学の口語訳や研究にも取り組み、中でも「源氏物語」には「私一生の事業」として生涯に3度取り組んだ。その最後の業績が本書(原題『新新訳源氏物語』)である。平塚らいてうらと共に女性問題にも情熱を注ぎ、教育事業にも尽力。昭和17年(1942)5月29日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
16
学生時代原文を受験勉強で部分的に読んだくらいでした。こういう社会構造の頃に女に生まれなくてよかったとは思うけど、小さい頃はなぜか典雅な雰囲気に憧れて、平安時代に行ってみたいと思っていたんだな。2012/04/20
よしひろ
8
日本の美しき恋を知る。花鳥風月と優美な宮廷内、音楽。それに、紫式部の筆が冴え渡る。うっとりするような物語が千年の眠りを呼び覚ます。2015/09/19
Kei
4
昔、あさきゆめみしを読んだ時以来。2023/04/26
のぶ
4
『珈琲店タレーランの事件簿 5』を読んで、久しぶりに源氏物語に挑戦することになった。周りの人間関係でも結婚だとか出産だとかいうものが現実にたち現れてきたせいか、与謝野晶子訳の一文一文と自分の周りを照らし合わせてみることが多いように感じる。葵の巻はことに身にしむものであった。また、末摘花、花散里といった巻を、今でいうスピンオフ的なものととらえると、格段に読みやすくなった。2020/01/10
トリッコロ
4
高校時代の古文で学んだ「源氏物語」の與謝野晶子版に再チャレンジ。第1巻は「桐壺」から「花散里」までで、訳者の格調高い筆致に少々手こずったが、何とか読了。個人的には、詩にも翻訳を併記して欲しかった。2015/04/19