出版社内容情報
人気時代小説作家、待望の文庫オリジナル作品集!
小藩の江戸詰め藩士、倉田家に突然現れた女。若き当主・勇之助の腹違いの妹だというが、妻の幸江は疑念を抱く。女と夫の間には何か秘密がある・・・。表題作「江戸褄の女」のほか、男女・夫婦の形を描く計6編を収録。
内容説明
小藩の江戸留守居役・倉田家に、一人の女が姿を現した。夫・勇之助の、腹違いの妹だと聞かされた幸江は戸惑いながらも迎え入れるが、どこか様子がおかしい。兄妹の間に何か秘密があるのではないか?女の正体は…。疑惑にさいなまれる若妻を描く「江戸褄の女」をはじめ、「猫」、「佃心中」、「駆け落ち」、「虹」、「眩惑」など、夫婦や男と女のそれぞれの“かたち”を綴る珠玉の全6篇。人気作家の原点を示す、オリジナル傑作時代小説集。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡市生まれ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、翻訳・作家活動に入る。1996年、『眩惑』でデビュー。2003年、『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞を受賞。07年、『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞受賞。平安から江戸以降まで、幅広い題材に取り組み、新しい感覚の時代小説の書き手として注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすか
13
疑念、嫉妬、裏切り、執着、憎悪などの深いドロドロした気持ちを抱える夫婦たち。 でもそれは深い深い愛情が根底にあるから。 こういう胸焼けするくらいのドロドロの愛情好きだなー。 『虹』だけは滑稽で、小助には悪いけど笑ってしまいました(笑)2020/05/29
高橋 (犬塚)裕道
8
星3。初期短編集。それなりに楽しませてもらったが、全体に話が重い。2019/10/17
rakim
7
時代背景をしっかり感じられる男女の情念は諸田さんらしいな、と思える短編集。軽く読めない書き込まれた作品ばかりのように思います。2013/09/28
退院した雨巫女。
7
《母‐図書館》【再読】いろんな夫婦の姿がみられる。ずっと一緒にいられる夫婦が羨ましい。2013/04/06
山内正
4
女が出て足をぬぐう 待ってたのかい 月明りに美しくも無い顔が 刀を抜き斬下げた 夜道を何事も無く歩き家に 音も建てず戸を開ける 小袖を取り出した妻が気付き狼狽えた 金もない筈がと 婿養子に飛び付き直ぐに改易となり 長屋暮しに落ちた 今宵は帰らぬと妻に家を出た 茶屋から出る侍を斬るつもりで刀を 突然の悲鳴に棒立ちとなり 気付いた侍が 足に激痛が走り倒れる女が走り寄り小袖が見えた 覚えのあると意識を失う 倒れた男を見て蒼白になる まさか夫が、知っていたのかと 二日し意識が戻る どうして家に居るのか小袖は誰か 2021/04/29