内容説明
「これが恋というものなのだ」。男はわたしの心臓を丸呑みにして、得意そうに言った。虜になったわたしは、11名の女と共に男の僕となった。ところが13番目にやってきた少女だけは違っていた。なぜなら彼女は…。支配と従属、希望と諦観。心どころか“臓”まで奪われる愛の果てに、少女たちが選択したものは?『姉飼』の著者が放つ耽美ホラーの傑作!最狂の純愛(?)スペクタクル「くくしがるば」も収録。
著者等紹介
遠藤徹[エンドウトオル]
1961年神戸生まれ。東京大学卒、同志社大学言語文化教育研究センター教授。2003年、「姉飼」で第10回日本ホラー小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ましゃ
57
私の心臓を丸呑みにして男は言った。「これが恋というものなのだ」…何この衝撃の帯文!まぁ、内容はいつもの遠藤節です。『おがみむし』と『くくしがるば』が収録されている本作。遠藤作品はいつもグロイ内容が書かれている事が多いのだけど、不思議と読後感が良いため私は読後感良いホラーだと思っている(人による)。そんな中『くくしがるば』はいつもと違った。不思議な言葉遊びの連続で最近読んだ町田康に近い文学と紙一重な作品だと思う。これから遠藤作品を読もうとする方へ一言…「あなたがいつも読んでいる日本語の世界は忘れてください」2018/04/19
らすかる
25
表題作と「くくしがるば」の2編が収録されてる。いや、表題作より「くくしがるば」が強烈すぎて印象薄い! てか「くくしがるば」何なのこれ! 低俗なラップみたいな文章、混沌を通り越しちゃった内容。登場人物の名前からしてふざけてるでしょ。有馬温泉駅前旅館皇女って何?! でも読みきっちゃった。割り切って読んだら面白いのかも。壮絶濃厚ハチャメチャ恋愛バトル。クセになるかもw2019/01/03
よしぱん
16
★3 カマキリとクシティガルバの2編を収録。①男に心を心臓を奪われた女たち、規則正しく虜人生を生きていく。②有馬温泉駅前旅館皇女、父ミカド、世話役閻乃魔子、新造人間忍、その開発者鞠麿、愛人たち。さまざまなネタのコラージュ&サンプリングに満ちた、音楽でいえばThe Avalanchesやヘッド博士の世界塔な一品か。必死についていったが、半ば置いてきぼり気分w2019/05/18
Yun
16
表題作「おがみむし」と「くくしがるば」二編の短編集。「おがみむし」は心臓を丸呑みされた為に、その男の虜になってしまった女の話し。そして「くくしがるば」は難解すぎて、脳みそがとろけそうな話し。タイトルだけでも訳がわからない。この世界観はなに?解らないけど、何か惹かれる。解説を読んで納得の一冊だった。2016/04/03
ひろ
15
「おがみむし」「くくしがるば」の二篇を収録。前者は閉鎖された中で密やかに破綻していく女たちの生活が、淡々とした語り口で描かれている。おがみむし(かまきり)の隠喩も印象的で、ホラーという括りを越えて文学的な魅力を感じる。後者はストーリー展開や文章構成などのぶっ飛びっぷりにハズレかと思ったが、気づけば何故か夢中に読んでいる不思議。どちらの作品も適切な長さでまとめているのが見事だった。文章量に差はあるが、互いにうまくバランスが取れた一冊。2014/08/10
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