内容説明
ひょんなことからやくざの組事務所に出入りすることになった大学生の亮。そこは個性豊かな面々がとぐろをまく強烈な世界だった。就職先もなく、将来が見えないことに苛立ちを感じていた亮は、アウトローの男たちに少しずつ心ひかれていく。しかし、時代に取り残された昔ながらの組には、最大の危機が訪れようとしていた。人生をドロップアウトしかけた青年の一夏の熱くたぎる成長ドラマを描いた第10回大藪春彦賞受賞作。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に入る。『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
64
この本の前に「真夜中の金魚」を読了したが、皆さんはこの「すじぼり」から読み初めてた方が良いでしょう。大学には行ったが、何を学びたいとか夢とか未来が視えない現在の社会も悪いのだろうが・・親の老後の資金を削ってまで大学に行かせる価値が無い息子達。それでもこれが今の青春なんだと思う。この本に登場のヤクザはヤクザなりの仁義も持ち合わせている。刺青を入れるにはお金も痛みも時間もかかる。ほんの下絵のようなすじぼりを入れた亮の今後の人生はどうなるのだろう。子育てとは難解也・・・2019/01/22
mr.lupin
56
ひょんなことからやくざの組事務所に出入りすることになった大学生の亮。どうもこの主人公の亮の言動が、どれも中途半端に思えて少々イライラした。思わず亮も大学なんかサッサと辞めてそっちの道に進めば良いのになんて思ったりした。逆に組事務所の人達は、やはりみんな筋が通っていて納得できた。全体的にスピード感があって読みやすい作品だった。面白かったけど、最後は誰も救われなかったかな。☆☆☆☆☆2021/04/19
ずっきん
54
浅慮な大学生が、もはや古臭いと揶揄される義侠心ヤクザ達の抗争に巻き込まれていくエンタメ。読みたいとは思いつつ、若造甘酸っぱい系の匂いがしてなかなか手が伸びなかった。読んだらやっぱり若造にスーパーイライラしたけれど(笑)、周囲のキャラと、ちょこちょこと挿すエピソードに勢いがあって一気読みでした。青春の終わりってラストがよかったです。ピシっと締まりましたね。2018/08/03
GAKU
50
初読みの作家さんです。ひょんなことからヤクザの事務所に出入りするようになった、地方三流大学の学生亮が主人公。お人好しでアホなため、自ら窮地に陥っていく。周りの連中は死んでいくし、組同士の抗争に巻き込まれるし、ラストの方ではプロの拷問屋まで登場。内容は結構悲惨なのですが、ユーモアタッチで書かれているので面白おかしく読めました。任侠道に目覚めてゆく亮の成長ぶりも良かったです。「すじぼり」のタイトルも読み進めてゆくうちに納得。何気なく手にした作品でしたが、なかなかの当たりでした。 2016/02/29
H!deking
47
就職先も決まらず悶々とすごす大学四年生の亮くん。ある日ひょんなことからヤクザの事務所に出入りするようになり、そっちの世界に入り込んでしまい、、、的なお話。いやー、これマジでめっちゃ面白かった!福澤さん、こういうのもいけるのね。途中の拷問のくだりとかは平山夢さんの東京伝説に出てきそうな話でした。亮くん下顎取られなくて良かったねw1072017/08/14