内容説明
夫に恋人がいることを知って傷つきながらも、あきらめの気持ちで日々を送る美和。彼女と共に、天然石のアクセサリー・ブランドを立ち上げた幼馴染の絵梨。絵梨のかつての恋人で、さまようようにして生きる少年ミチル。絵梨の策略で、美和とミチルは週に1度だけベッドを共にするようになる。慈愛と静寂に満ちあふれた三角関係のなかで、互いに求め合うことで生まれたあたたかな哀しみ。パワーストーンの光に包まれた恋愛小説。
著者等紹介
野中柊[ノナカヒイラギ]
1964年生まれ。立教大学卒業後、渡米。ニューヨーク州在住中の91年「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なゆ
74
ふわふわとさらさらと、でも微かに切なげな恋愛小説。でも“恋愛”というほど感情が揺れ動いてないせいか、恋愛小説を読んでる気がしない。三角関係も不倫も、違うもののように見えるから不思議。3人ともそれぞれの孤独を抱えて震えているのを、暖め合うような場所だったのかな、あの部屋は。危ういバランスのようで、でも3人の日々はしっくりと楽しげで、でもそんな日々は続かなくて。天然石のアクセサリーブランドってことで、いろんな天然石がキラキラと話を煌めかせてるよう。リアル感はないけど、儚く綺麗な読後感も悪くない。2021/03/08
さおり
46
Kindle Unlimitedで。途中まで野中ともそさんだと思って読んでて、何か違うなと思ったら柊さん、はじめましてでした。つかみどころのない感じの、不倫のお話。んー、不倫って言うと何か違うかも。夫とうまくいっていない女のひとと、その幼なじみで地に足がついてない女のひとと、家出中の若い男の子の三角関係のお話、かな。特におもしろいこともないんだけど、ずっと読んでもいられる類いのん。川上弘美さんとか、江國香織さんとか、そんな感じに近いような。2020/04/27
ゆめ
15
★★あまりのこってませんが 静かな話でした。2015/09/29
Rin
14
★★2015/04/27
cithara
7
「雨は林檎の香のごとく しみじみとふる、さくさくと…」北原白秋の詩がこの物語を端的に語っていると思う。私が著者の作品を読まずにいられないのは、解説の東直子さんが書いているのとほぼ同じ理由である。そして文章の心地よさが極上のイージーリスニングを聞いているような心地になるからである。そして明るい文体の中にも生きていることの哀しさがひしひしと感じられるのが良い。淡々と平穏に流れていくかのように思われるストーリーが途中で暗く展開するが、それさえ日常にさらりと溶けていくような感じがする。アクアマリンが欲しくなった。2014/08/22